研究課題/領域番号 |
12470215
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中村 肇 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40030978)
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研究分担者 |
常石 秀市 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10271040)
米谷 昌彦 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (60221678)
高田 哲 神戸大学, 医学部, 教授 (10216658)
横山 直樹 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (20314487)
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キーワード | hydroxyl radical / フリーラジカル / 低酸素性虚血性脳症 / マイクロダイアリシス / 脳低温療法 / アポトーシス |
研究概要 |
昨年度は、ラット新生仔を用いた低酸素性虚血性脳症モデルを作製し、全身低体温処置がアポトーシスを抑制することで、組織学的な脳障害を軽減させうることを証明した。今年度は、臨床的により合目的的な選択的脳低温を、臨床に則した低酸素虚血障害+再灌流モデルに応用した。また、組織学的評価のみならず、線条体におけるフリーラジカルの産生と微小脳循環をモニタリングして病態解明に迫った。 7日齢のラットに左総頚動脈clippingと8%酸素の負荷を90分行い、その後clippingを解除してroom airへ戻す再灌流負荷をかけた。選択的脳低温群では、頭部下面に冷却温度コントローラーを接触させ、体部はheat blanketで保温して直腸温を維持し、負荷開始から180分間、脳を選択的に低温にした。 脳温は再灌流にて軽度の上昇が認められたが、負荷後半より回復期にかけて30〜32℃に保つことができた。直腸温は、選択的脳低温群で有意差をもって軽度の低下(平均-1.7℃)が認められた。脳血流は、負荷時にbaselineに比べて有意な減少が認められたが、再灌流にて逆に上昇が認められた。マイクロダイアリシス法で線条体より採取した灌流液から、OH・をサリチル酸法により測定解析した。選択的脳低温群では、有意差をもってOH・の産生が抑制された。 大脳皮質、海馬、線条体のいずれにおいても、選択的脳低温は、細胞、核の変性等necroticな所見を抑制した。また、apoptosisの指標としての抗single stranded DNA免疫組織染色においても、染色反応は軽度認められたのみであった。選択的脳低温により、necrosisのみならず、apoptosisによる神経細胞死をも抑制できることが示唆された。
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