1)FSHβ遺伝子上流約800塩基領域にある107塩基対からなるFd2と名付けたDNA断片をレポーター遺伝子をもつ酵母の発現ベクターに連結したコンストラクトを構築、を酵母の染色体上に組み込んだ変異酵母をクローン化した。 2)ブタ下垂体cDNAライブラリーを転写因子GAL4の活性化部位に融合させたcDNAライブラリーを変異体酵母に導入して、cDNAの発現産物がFd2に結合能を示して得られるレポーター遺伝子の発現を指標としてクローンの選択を行い、4種の転写因子クローンを得た。 3)上記因子クローンの塩基配列を解析し、多くの転写国子に共通する特徴的なDNA結合ドメインを確認した。クローン化した因子は、酵母への再導入、組換え体タンパク質を用いて、確かにFd2に特異的に結合することを確認した。 4)下垂体由来の株化培養細胞LβT2およびモルモット由来株化細胞CHOを用いて転写因子の発現ベクターを導入して転写活性能を測定した。4種の転写因子は転写の促進、抑制に働き、いずれの因子もFSHβ鎖遺伝子に対する制御を行っていると考えらる。 5)組換え体転写因子を精製し、抗体作成にを行ったが、特異抗体の作製には至らず、新たに合成ペプチドに対する抗体作製を作成した。この抗体は、免疫に使ったウサギが自己抗体を持っていたため、やはり特異性が低く、さらに精製を行ったいる。 6)酵母の発現系を用いたタンパク質間相互作用の解析系により、すでに取得した転写因子に相互作用する新規の因子のクローニングを行い、新たな因子cLIM2をクローニングした。 7)この因子は、DNAに直接結合しない、いわゆるコリプレッサーであり下垂体のDNA結合型転写因子がコリプレッサー群を介して転写調節能を発現していることを明らかにした。
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