研究概要 |
エストロゲン受容体のαとβ両方の活性を抑えるドミナントネガティブ体を発現するトランスジェニックラットを作製したところ、雌において閉経後骨粗鬆症モデルとしての卵巣摘除後のホルモン補充に対し抵抗性を示した。本年度は、雄の骨代謝におけるエストロゲン受容体の重要性を示し、そのモデル動物由来の骨芽細胞よりエストロゲンの新しい標的遺伝子として、サイクリンD2,D3を同定した。また、SNPを用いた遺伝解析から、閉経後骨粗鬆症と疾患遺伝子の関連を示した。特に閉経後骨粗鬆症において、VDP, TNFα,β3AR, Klotho, BNP, TNFR1,LRP5/6の遺伝子多型において、骨量もしくは骨代謝マーカーとの有意な相関を認め、遺伝子診断のための新しいマーカーとしての応用、オーダーメード医療への応用が期待された。独自に開発した方法によってエストロゲン応答配列を持つDNA断片を得て同定したRBCCファミリーの一員であるEfpの機能解析を行った。エストロゲン応答乳癌細胞にEfpを発現させたところ増殖を促進し、エストロゲン非依存性の増殖能を獲得した。逆にEfpの発現を抑えると増殖が抑制された。Efpは細胞周期のブレーキ役14-3-3σの破壊を担うユビキチンリガーゼであることを解明し、細胞周期進行の新しい分子メカニズム、癌耐性獲得の新しい病態モデルを提唱した。このことからEfpは癌治療、創薬の新規分子標的であることを示した。今後性ホルモンと骨代謝におけるEfpの役割を明らかにしていく。
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