研究課題/領域番号 |
12470227
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
吉川 隆一 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (50093406)
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研究分担者 |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00209363)
古家 大祐 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70242980)
羽田 勝計 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (60164894)
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キーワード | メサンギウム細胞 / TGF-β / Smad / AP-1 |
研究概要 |
ラットメサンギウム細胞におけるTGF-β1によるPAI-1の発現増強作用に関与する細胞内情報伝達機構について検討した。TGF-β1はextracellular signal-regulated kinase(ERK)とc-Jun NH2-terminal kinase(JNK)を活性化し、転写因子c-fos mRNA発現とAP-1のDNA結合能を増加させた。選択的MEK阻害剤であるPD98059とU0126はTGF-β1によるPAI-1 mRNA発現増強を抑制した。次に、TGF-β1により反応するPAI-1遺伝子のpromoter領域を同定する目的で、rat genomic DNAよりPCR法を用いてrat PAI-1のpromoter領域を単離し、luciferase reporter constructとrat PAI-1のpromoter領域に認められたsmad結合部位とAP-1結合部位を削除したdeletion constructを作成し、レポーターアッセイを行った。Smad結合部位を削除したreporter constructではTGF-β1の反応性は保たれていたが、AP-1結合部位を削除したconstructとAP-1結合部位に変異を加えたPAI-1 promoter constructの活性は非刺激下およびTGF-β1刺激下ともに抑制されていた。AP-1結合部位を含むオリゴDNAを用いたelectromobility shift assay(EMSA)では、TGF-β1によりAP-1のDNA結合は増強し、PD98059で抑制された。また、smad3あるいはsmad4を過剰発現した細胞ではPAI-1のプロモーター活性は抑制された。以上の結果より、TGF-β1によるPAI-1の発現にMEK-ERK経路、転写因子AP-1が重要であり、Smad経路は抑制的に作用していることが明らかとなった。
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