研究課題
【目的】血中グルコース濃度の低下は重要な摂食亢進因子さあるが、低グルコースを感受して摂食シグナルを形成する脳の部位は十分明らかにされていない。視床下部の外側視床下部(LH)と弓状核(ARC)は摂食中枢であり、それぞれ、摂食亢進ペプチドであるオレキシンとニューロペプチドY(NPY)を含有する神経が局在する。そこで、オレキシン神経とNPY神経のグルコース感受性を検討した。【方法】7週SDラットLH、ARCより急性単離した神経細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>])をfura-2蛍光画像解析し、グルコース濃度変化の効果を計測し、測定後の細胞を抗オレキシン・NPY抗体を用いて免疫染色し神経細胞を同定する新しい実験方法(単一細胞機能解析方法)を用いた。【結果】LH神経細胞340個のうち、グルコース濃度の低下に対して[Ca^<2+>]増加を示すグルコース感受性神経(GSN)が71個(21%)あり、そのうち13個(18%)がオレキシン含有神経であった。ARC神経細胞180個のうち36個(20%)がGSNであり、そのうち34個(94%)がNPY含有神経であった。【結論】LHおよびARCの神経細胞の約2割がGSNであり、GSNのうちLHでは約2割がオレキシン神経でありARCでは約9割がNPY神経である。これらの神経細胞は、低グルコース(代謝)をオレキシン・NPY(神経物質)の放出に変換して摂食を亢進する役割を担っていると考えられる。
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