研究概要 |
1 GFP導入ヒト大腸癌細胞株の樹立と生体蛍光顕微鏡による腫瘍血管新生の観察 4種のヒト大腸癌細胞株のGFP stable transcectantsを樹立した。生体蛍光顕微鏡下にGFP導入癌細胞株のヌードマウス盲腸内移植モデルを解析した。その結果、移植後早期より著明な腫瘍血管が誘導されることを確認した。 2 血管新生因子発現の解析 RT-PCR法では4種のヒト大腸癌細胞株すべてにVEGF mRNA発現が確認された。ELISA法では高肝転移性の2株は低肝転移性の2株に比較してVEGFを高産生していた。移植腫瘍の抗ヒトCD31免疫染色では、VEGF高産生株で高密度の腫瘍血管誘導が確認された。 3 リンパ管新生因子発現の解析とリンパ管浸潤の直視下観察 ヒト大腸癌細胞株をヌードマウス同所移植し、リンパ節転移実験を行った。その結果、CCL188はリンパ節・肝に転移を形成するがColo320は全く転移しなかった。 RT-PCR法ではColo320がVEGF-C(++), VEGF-D(+)、CCL-188がVEGF-C(-), VEGF-D(±)であり、VEGF-C, -Dの発現とリンパ節転移との相関を認めなかった。 細胞接着分子CD44に着目し、リンパ節転移との関連を検討した。FACSでは、Colo320がCD44(-)、CCL188はCD44(+++)であった。CCL188のanti-sense CD44導入株を樹立しCD44発現が強く抑制されることを確認した。CCL188の親株はリンパ節転移を形成したが、CD44 anti-sense transfectantはリンパ節転移を全く形成しなかった。抗マウスVEGFR-3抗体による腫瘍リンパ管染色では、腫瘍リンパ管密度はColo320でやや高いが、リンパ管侵襲度はCCL188の親株がColo320,CCL188のCD44 anti-sense transfectantに比較して有意に高値であった。
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