研究概要 |
【方法】 (1)胃癌43症例の腫瘍組織と健常組織のmRNAを用い、DNAマイクロアレイを用い解析を行った。各種臨床病理学的因子に関連する遺伝子を抽出し、更に予後予測のための遺伝子重み付けポイント診断法を開発した。 (2)6例の胃癌組織よりLCM法とT7増幅法を用いて微量サンプルでのマイクロアレイ解析が可能かを調べた。 【結果】 (1)胃癌43症例の解析により予後に関与する遺伝子として、MMP-7、fibronectin precursor、TGFb RIII等70種類(全体の17%)を抽出した。臨床病理学的には(1)深達度ではMMP7、keratin6B、thrombospondin2等が関連すること。(2)リンパ節転移ではMMP7、thrombospondin 2、fibronectin precursorが関連することが明らかになった。ついで各遺伝子ごとに重み付けポイントを設定し、症例ごとに重み付けポイント総計を算定したところ(a)100点を超える症例は全例5年未満に死亡、(b)5年以上生存した症例は100点未満、(c)臨床病期I、II期の中に進行癌と同様の遺伝子発現変異をとる症例(ポイント100点以上)があり、早期死亡していた。 (2)胃癌原発巣、転移巣由来の微量サンプルでのLCMとT7増幅法併用によるマイクロアレイ解析は6例全例で可能であった。原発巣、転移巣で胃癌の基本的な発現プロフィルはそれぞれの患者ごとに共通していたが、特に転移巣で高発現している遺伝子としてCDK-4,FGF-2,CathepsinB、Rho関連遺伝子を認めた。 以上の結果はClin. Cancer Res.に発表予定である(2002,in press)
|