研究概要 |
1.Two cell blockがかかりにくい白系ddy系マウスの2細胞期胚に我々が発見したembryotrophic factors(Human cell 13:185-195,2000)を作用させ、これをflat typeの3胚葉胚に成長させることに成功した。この成長過程で出現する小型球形細胞を黒系BDF1(C75BL6×DBA/2)マウスの胚盤胞の内細胞塊に移植しキメラマウスの作製に成功したので我々はこの小型球形細胞をES細胞と考えた(Human cell,2002,in press)。このES細胞は2細胞期胚を成長させる過程で分離するもので、従来の胚盤胞胚から樹立するES細胞より早期という意味でearly embryonic stem cell(EES細胞)と命名した。このEES細胞はアメリカのジェロン社のもつ特許に全く抵触しない。次にEES細胞にembryotro phic factorを作用させ未分化な各種臓器(肝臓、消化管、血管、肺、神経、軟骨、皮膚など)の幹細胞を分化させることに成功した。そこで赤色を呈する細胞塊(未分化な肝臓)より肝細胞を分化させ、この肝細胞をコラーゲンスポンジ中にいれて3次元培養して、アルブミンを合成する成熟肝細胞に分化させることに成功した。 2.次にハイブリッド型の人工肝臓を作製する基礎実験としてGH単独欠損ラット(SDR)の胚盤胞よりES細胞を樹立した。(1)ラットのES細胞にembryotrophic factorsを作用させ肝細胞を分化させることに成功した。(2)この肝細胞はSDRの脾臓に移植することが可能であったので、(3)肝不全SDRラットを作製し、このラットの脾臓に肝細胞を移植し、ラットの肝機能を改善させることに成功した(日本外科学会総会,2002にて発表予定)。
|