研究課題/領域番号 |
12470247
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
石川 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30089784)
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研究分担者 |
立花 利公 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80163476)
橋本 尚詞 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (80189498)
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キーワード | マウスEES細胞 / ラットEES細胞 / 肝原基 / アルブミン合成 / ハイブリッド型バイオ人工肝臓 / 潅流培養装置 / 尿素回路 / 胆汁産生 |
研究概要 |
1.白系ddy系マウスの2細胞期胚よりEES細胞を樹立しこれにETFsを作用させ種々の臓器(肝臓、消化管、血管、肺、神経、軟骨、皮膚など)の原基を分化させた。 2.ハイブリッド型バイオ人工肝臓を作製する基礎実験においてマウスEES由来の肝細胞は成長ホルモン(GH)に対する感受性が低くin vitroでcontrolしにくいことが判明したため、GHリセプターの多いGH単独欠損ラット(SDR)の2細胞期胚より上記方法を用いてEES細胞を樹立し、そこから肝細胞の原基を分化させることに成功した。 3.この肝原基から肝細胞を分化させ、コラーゲンスポンジ中に入れて3次元培養し、アルブミンを合成する成熟肝細胞に分化させることに成功した。 4.この肝細胞を肝不全ラットの脾臓に移植し、ラットの肝機能を改善させ胆汁の産生と顕著な延命効果を得た。この肝細胞は正常2倍体性の核型を有し、脾内移植により腫瘍を形成することは全くなかった(2002年度ヒト細胞学会ポスター賞受賞、Human Cell 2003 in press)。 5.本年度はこの肝細胞を用いて、ハイブリッド型バイオ人工肝臓の作製を試みた。すなわち0.3μmの穴を多数有する内径300μmの細管を長さ10cm、内径1cmのガラス管中に300本入れ、細管の外側に肝細胞を充し、細管内を培養液が流れるようなバイオ人工肝細胞容器を作製した。この容器内で肝細胞は初めは増殖するが、細管外側のスペース内に肝細胞索を形成すると接触阻害により増殖を停止した。 6.この容器を潅流培養装置に装着しハイブリッド型バイオ人工肝臓を作製した。このバイオ人工肝臓は1ヶ月以上アルブミンを産生しつづけ、さらに尿素回路機能も働きつづけることが判明した。このバイオ人工肝臓は造血機能もあるらしく胆汁の産生も確認できた。今後の問題はこの胆汁をどのようにして消化管内に戻すかである。
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