研究課題/領域番号 |
12470251
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柳 健一 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70239797)
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研究分担者 |
高田 泰次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10272197)
三好 浩稔 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70292547)
大島 宣雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50015971)
谷口 英樹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (70292555)
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キーワード | バイオ人工肝臓 / ブタ / 劇症肝不全 / 動物モデル / α-amanitine / lipopolisaccharide |
研究概要 |
【緒言】バイオ人工肝臓による治療効果を評価するためには大動物の肝不全モデルの作成が不可欠である。キノコ毒であるα-amanitineとlipopolisaccharide(LPS)を用いてブタに肝不全を引き起こせることが報告さている。本研究では、α-amanitineの投与量と肝不全の重症度の関係について検討した。 【実験方法】被検動物として体重9-12kgの去勢ブタを用いた(n=6)。ブタを全身麻酔下に開腹し、門脈内にα-amanitine(100,150or200μg/kg)およびLPS(10μg/kg)を投与した。外頸動脈にカテーテルを挿入して動脈圧を測定した。頭蓋内硬膜下にカテーテル先端型圧トランスデューサを挿入して脳圧を計測した。外頸静脈に挿入したカテーテルからブドウ糖加電解質液を持続的に投与した。投与前と投与後12時間おきに外頸動脈のカテーテルから採血した。動物の死亡後、肝臓、腎臓、心臓、肺をフォルマリンにて固定し、組織学的検索を行った。 【結果】α-amanitineの投与量100μg/kgでは2匹とも1週間の観察期間中には死亡せず、150および200μg/kgではそれぞれ平均54および36時間後に死亡した。どの群においても生存中には血圧、尿量、血糖値は保たれた。投与量150μg/kgの群では死亡の3〜4時間前から脳圧の急激な上昇が観察されたが、200μg/kgの群では顕著な上昇を示さずに死亡した。全例において薬剤投与24時間後をピークに顕著な血中asparate aminotransferase活性の上昇を認めた。血中アンモニア、ビリルビン値、プロトロンビン時間は著明に上昇し、肝不全の病態を示した。生存例ではこれらの値は72時間以降低下し、肝不全から回復した。死亡例において肝組織は広範な出血性壊死像を呈し、肝細胞をほとんど認めなかった。一方、生存例では中心静脈周囲に壊死像を認めた。他の臓器に組織学的な異常を認めなかった。 以上の結果から、α-amanitineとLPSの門脈内投与により、劇症肝不全モデルを作成できること、肝不全の重症度はα-amanitineの投与量に依存することが示された。本モデルは、バイオ人工肝臓の性能評価に有用であると考えられる。
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