研究課題/領域番号 |
12470255
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 久實 名古屋大学, 医学部, 教授 (60184321)
|
研究分担者 |
丸井 祐二 名古屋大学, 医学部, 医員
勝野 伸介 名古屋大学, 医学部, 助手 (90324409)
渡辺 芳夫 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80201242)
|
キーワード | 先天性胆道拡張症 / 胆管 / 神経ネットワーク / 免疫組織染色 / hypoganglionosis / ヒルミュミュプルング病 / 膵胆管合流異常 |
研究概要 |
1.先天性胆道拡張症(以下本症)における特異的な胆管拡張の原因を究明するために、胆管壁、ならびに胆嚢壁における神経線維構築を、whole-mount標本を用いて立体的に観察した。 2.手術的に採取した本症の胆管ならびに胆嚢を生食水に1晩浸食し、その後ザンボニ液で数日間固定し、実体顕微鏡下において粘膜、粘膜下組織、線維筋層を順次剥離して、外膜の表面近くに認められる神経叢のwhole-mount標本を作成した。これを0.3%TritonX-PBSに2〜3日間浸漬した後、一次抗体として神経の汎用マーカーである抗PGP9.5抗体に6〜7日間浸漬し、Streptoavidin-blotin-peroxidase法による免疫組織染色を施行した。このようにして作製したwhole-mount標本において、神経叢の網状構造と神経節の分布、ならびに神経節間を結ぶ一次線維について、その数と大きさを顕微鏡下観察し、ビデオ測微計VM-30に取り込んで検討した。なお、手術あるいは剖検により得られた胆管・胆嚢を対照として比較検討した。 3.その結果、本症では正常胆管と比較して神経細胞数が有意に少なく、神経のネットワークは粗であり、神経細胞の集団からなる神経節の存在がまばらでその大きさも非常に小さかった。このことより腸管におけるhypoganglionosisと同様、胆管の運動能は正常には機能できずにイレウス状態を来した結果、本症に独特な胆管拡張を来したものと考えられた。一方、胆嚢においては、神経叢の網状構造や神経節の発達程度には大きな差は見られなかったが、神経繊維が分岐する部位に位置する神経節細胞が正常胆嚢に比して少なかった。
|