研究課題/領域番号 |
12470257
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
有井 滋樹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50151171)
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研究分担者 |
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
川村 徹 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (90322081)
寺本 研一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80197813)
森 章 京都大学, 医学研究科, 助手 (60324646)
海道 利実 京都大学, 医学研究科, 助手 (80314194)
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キーワード | 肝類洞壁細胞 / 肝保存 / 肝移植 / アポトーシス / 血管内皮増殖因子 / 肝細胞増殖因子 / Rho / 星細胞 |
研究概要 |
1)冷保存・再潅流障害の機序と対策 ラット肝を用いて肝冷保存・再潅流を行い、TUNEL法、電顕にてアポトーシスの存在を検討した。その結果、類洞内皮細胞に効率にアポトーシスが発生し、類洞内皮が脱落すること、そしてこれは冷保存のみでは生じず、再潅流があってはじめて発生することを明らかにした。そこで類洞内皮の生存因子と考えられているvascular-endothelial growth factor(VEGF)を肝の摘出前、冷保存中に投与したところ、アポトーシスが有意に減少し類洞内皮も良好に維持された。さらに、最近、肝細胞のみならず血管内皮に対しても増殖作用を有することが明らかとなっているhepatocyte growth factor(HGF)を同様な方法で投与したところ、VEGF同様に類洞内皮に対して抗アポトーシス作用を発揮し、しかも肝細胞にも保護効果を有することが示された。脂肪肝の冷保存についても検討した。脂肪肝が冷保存にきわめて弱いことはよく知られており、これを移植すると高率に無機能肝となるがその機序については充分には解明されていない。本研究において、冷保存脂肪肝の類洞内皮がきわめて脆弱であること、また冷保存時間が長くなるにしたがい肝細胞内脂肪滴が著しく大きくなることを示した。そして、HGFがこの脂肪の増大を抑制し、肝細胞障害及び類洞内皮傷害に対しても保護的に作用することを明らかにした。つぎにヒト切除肝を用いて冷保存障害に対するHGFの抑制作用を検討したところ、ラットと同様に内皮、肝細胞の両者に対して有効に働くことが判明した。2)星細胞活性化の制御による慢性肝障害から肝硬変の進展抑制について 肝星細胞の活性化が低分子量G蛋白Rhoに依存することが培養星細胞を用いた実験において明らかとなっているが、この知見を踏まえて、最近そのEffector分子であるP160Rockを阻害することが判明した低分子化合物Y27632投与により、in vivoにおいても星細胞の活性化を阻害すること、そして、ラットモデルにおいて慢性肝障害から肝硬変の進展を抑制することを示した。
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