体外肝組織再構築モデルを用いた胆汁うっ滞解析と細胞移植による肝不全治療法の研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12470265
• 研究機関: 札幌医科大学
• 研究代表者: 平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
• 研究分担者: 桂巻 正 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50253993) ; 三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50231618) ; 望月 洋一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40045381) ; 本間 敏男 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30315494)
• キーワード: 胆汁うっ滞 / 毛細胆管 / 肝細胞 / 周術期 / サイトカイン / 感染症 / ヒトAGP / AGPR

研究概要

本年度研究の第一段階として、Kupffer cellが産生する炎症性cytokine(TNF-α,IL-1β,IFN-γ,etc)を単独もしくはそれらの組み合わせをcoupletあるいはsmall hepatocytes細胞培養mediumに加え毛細胆管運動への影響を検討した。その結果、TNF-αおよびIL-6を用いた実験ではcontrolよりも毛細胆管の収縮回数が減少する傾向を認め、抗サイトカイン抗体を用いた中和試験などの影響については検討途中段階である。
第二段階としてKupffer cellの培養mediumの中に各種トキシンやストレス(熱・低酸素など)を加え、炎症性cytokine・free radicalsなどを誘導し、このmediumがcouplet細胞の毛細胆管運動に与える影響を検討している。また、三高らがラットの正常肝臓から見いだしたsmall hepatocyteを用いた研究も実行しえた。同細胞は増殖力が強く、肝非上皮細胞と混合培養すると4週間前後で毛細胆管様構造が発達した成熟肝細胞と肝非上皮細胞からなる類肝組織(colony)を形成した。このcolonyを用いてcouplet細胞の場合と同様に、炎症性cytokineや各種トキシンやfree radicalsとKupffer cellとのmediumなどが毛細胆管様構造の収縮に与える影響を検討しており、形成された毛細胆管と思われる閉鎖系のその自動運動を認めており、サイトカイン投与によりその運動が抑制される傾向を認めた。In vitroとin vivo間において、より生体に近い環境で胆汁うつ滞に関する研究を行うことができつつあり、明年度への展開へ期待がもたれるところである。

研究成果

• [文献書誌] T Mizuguchi,T Mitaka,K Hirata et al: "Paper is a Compatible Bed for Rat Hepatocytes"Artificial Orgars. 24(4). 271-277 (2000)
• [文献書誌] M Isobe,T Katsuramaki,K Hirata et al: "Role of Indueible Nitric Oxide Synthase on Hepatic Ischemia and Reperfusion Injury"Transplantation Proceedings. 32. 1650-1652 (2000)
• [文献書誌] T katsuramaki,H Kimura,K Hirata et al: "Changes in Hepatic Venous Oxygen Saturation in Hepatic Warm Ischemia Reperfusion Injury in Pigs"Surgery Today. 30. 343-351 (2000)
• [文献書誌] T Katsuranaki,M Isobe,K Hirata et al: "Different changes of Endothelin-1 after Reperfusion in a Warm Ischemia/Reperfusion and Transplantation Modil in Pig Liver"Transplantation Proceedings. 32. 2276-2278 (2000)
• [文献書誌] 桂巻正,平田公一,永山稔 他: "VCSクリップを用いた簡便な肝動脈吻合法"日本消化器外科学会雑誌. 33(2). 245-249 (2000)
• [文献書誌] K Hirata,S Ikeda,T Honma et al: "Sepsis and cholestasis"Journal of Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery. 8(In press). (2001)
• [文献書誌] N Sato,Y Okada,K Hirata et al: "Recent Advances of Human Tumor Immunology"Japan Suientific Souieties Press & Karger AG. 250 (2000)
• [文献書誌] 桂巻正,平田公一: "専門医のための消化器外科学レビュー"跡見裕,炭山喜伸,門田守人(監). 250 (2000)