研究課題/領域番号 |
12470292
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
前田 信治 愛媛大学, 医学部, 教授 (50036464)
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研究分担者 |
鈴木 洋司 愛媛大学, 医学部, 助手 (20226567)
立石 憲彦 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90236555)
田中 潤也 愛媛大学, 医学部, 教授 (70217040)
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キーワード | 微小循環 / 酸素放出 / 赤血球集合 / 脳循環 / トリグリセリド / 誘発電位 / 腸間膜微小血管網 / 人工微小流路 |
研究概要 |
脳への血液循環動態が様々な血管ならびに血液の要因によって変化したとき、脳への酸素供給の変化と脳の神経細胞の局在機能への影響を局所的レベルで調べることを目的として、基礎的実感並びに動物実験を行い、次の成果を得た。 (1)酸素透過性のある人工微小流路を用いた赤血球浮遊液の灌流実験で、高分子デキストランによる赤血球集合流ならびに遠心力による圧縮赤血球流によって赤血球からの酸素放出が低下することを示した。ウサギの単離腸-腸間膜標本を用いて検討した結果でも、赤血球集合による酸素放出の抑制が認められた。 (2)脳への血流に影響する最もポピュラーな病態の中で、血漿中のトリグリセリドの増加が赤血球集合を促進することを見いだした。 (3)麻酔下のラットの腸-腸間膜を剖出して上腸間膜動脈の血流量を変化させた。微小血管周囲の酸素分圧を人工的に低下させると、血液の酸素飽和度は末梢へ行くに連れて低下するが、上腸間膜動脈の血流量が減少すると、微小血管の赤血球流速も低下し、酸素飽和度は一層低下した。 (4)両側総頸動脈の血流量の安定した同時測定が可能となった。右側が高い傾向にあるが、解剖学的な差によると考えられた。また、右総頸動脈を結紮すると、左総頸動脈の血流量が約60%増加した。 (5)大脳知覚領に針電極を刺入して、反対側の後肢を電気刺激すると、誘発電位が観察された。誘発電位の大きさは刺激強度が増すにつれて大きくなった。実験系の一部を電気的にシールドし、256〜512回刺激の加算平均で良好な結果が得られた。総頸動脈の結紮-結紮解除による誘発電位の反応に有意な変化が認められた。電気刺激による誘発電位は死後約20分間継続し、血流との関係で解析上の重要な問題と考えられた。
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