研究概要 |
ヒト脳腫瘍の手術による摘出材料や生検材料について,O^6-methylguanine-DNA methyltransferase(MGMT)の多寡によるMer+/-診断法を検討した.脳腫瘍摘出標本において抗MGMT抗体による免疫染色法の定量標準化を試みた.42例のグリオーマを対象とし,MGMT陽性細胞を算定した.MGMT陽性細胞は1例を除いて陽性細胞が検出され,最高陽性率は66.7%で,平均は19.7%であった.陽性率が10%未満のものは10例(24%)に認められ,Mer-腫瘍に相当するものと考えられた. グリオーマのうちでオリゴデンドログリオーマの化学療法において,1番染色体短腕(1p)と19番染色体長腕(19q)の欠失例ではPCV(PCZ, CCNU(ACNU),VCR)併用化学療法が効果的である.オリゴデンドログリオーマ14例について,loss of heterozygosity(LOH)をFISH法で検討したところ,13例(93%)に1pの欠失,7例中6例(86%)に19qの欠失,1pと19qの両者の欠失は6例(86%)であり,オリゴデンドログリオーマでは1pおよび19p欠失が高率であることが判明した.
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