研究概要 |
1.成熟家兎28羽を使用した.右ACLをin situで凍結解凍処理を加えた後,14羽ずつ4群に分けた.I群では凍結処理ACLの周囲に何も投与しなかった.II群ではフィブリン糊0.2mlを凍結処理ACLの周囲に投与した.III群ではEGF100ngおよびTGF-β4ngをフィブリン糊0.2mlと混合し凍結処理ACL周囲に投与した.IV群ではEGF50μgおよびTGF-β2μgをフィブリン糊0.2mlと混合し凍結処理ACL周囲に投与した.左膝には何の処置も加えず,正常control群とした.すべての家兎を12週後に屠殺した.本研究はEGFおよびTGF-βとfibrinの混合投与が,投与後12週で凍結処理ACLの断面積の増加を有意に抑制し,力学的特性の低下に関してはこれを有意に防止することを示した.同様な実験系を用いて、種々のサイトカインの効果を調べた.TGF-βは単独投与でも同様の効果を示した.しかしEGF単独投与は有意の効果を示さなかった.PDGF-BBも有意の効果を示さなかった. 2.34匹の16週齢のラットを使用した.これらの右膝蓋腱にin situ凍結解凍処理を加えた後6週後に膝蓋腱を摘出し,外来性浸潤線維芽細胞を単離した.無血清培地にrr-IL-1β,rh-PDGF-BB,rh-TGF-β1投与後,一定期間の後に細胞を回収し,総RNAを抽出した.IL-1βおよびPDGF-BB投与は外来性浸潤細胞の間質性collagenase mRNA発現を投与後6時間をピークとして亢進させた.これに対し,TGF-β1投与は間質性collagenase mRNA発現を投与後36時間まで抑制した.一方、外来性浸潤細胞のIおよびIII型collagen mRNA発現に関しては、IL-1β投与はこれを抑制し,その効果は投与後24時間でピークを認めた.TGF-β1投与は外来性浸潤細胞におけるI型collagen mRNAに対するIII型collagen mRNAの比率を有意に増加させた.一方,PDGF-BB投与はこの比率に有意の効果を認めなかった.
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