研究課題/領域番号 |
12470310
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
井上 一 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70033206)
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研究分担者 |
川井 章 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (90252965)
原田 良昭 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (80252964)
石川 邦夫 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (90202952)
竹内 一裕 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30304306)
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キーワード | 細胞遮断膜 / 癒着防止 / アルジネート膜 / アルギン酸ナトリウム / 塩化カルシウム / 骨伝導 / 骨細胞 |
研究概要 |
本研究は、アルギン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液の接触により形成されるアルジネート膜の細胞遮断膜効果と、骨伝導性を誘導する担体としての有用性の検討を行っている。 本年はまず、in vivoの実験として、ラットの背側の傍脊柱筋挫滅における癒着防止効果について、第23回バイオマテリアル学会にて報告した。それによると、アルジネート膜群では、創治癒期間における炎症は軽度であり、異物巨細胞による吸収を経て、良好な創のremodellingが確認された。続いて抗炎症効果とアルジネート膜吸収のコントロールを想定し、ステロイドの添加を試みた。しかしステロイド添加効果はごく軽度であり、明確にできるものではなかった。この結果は、ラットではremodellingが速やかであり、動物種の影響と考えている。 同時に、ビーグル犬での椎弓切除による神経周囲の癒着防止効果を検討した。短期の経過観察結果は、先の実験結果と同様であったが、長期の観察によると、神経周囲の線維化(癒着)に差を認める。同所見はアルジネート膜吸収期間の差による影響が大きい可能性があり、ステロイド添加効果を期待するものである。またビーグル犬での腸骨骨欠損部において、アルジネート膜の細胞遮断膜効果により、線維芽細胞等の迷入を抑え、空間提示による骨組織再生について検討している。 in vitro実験として、Lynda F. Bonewaldより提供された骨細胞cell line (MLO-Y4)を用い、アルジネート膜の細胞活性への影響について検討した。アルジネート膜上に播種した細胞では、骨細胞樹状突起の伸展の抑制や増殖抑制、骨特異蛋白(ALPおよびオステオカルシン)合成の抑制が認められた。この結果は、アルジネート膜の細胞遮断膜効果を支持すると考えている。
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