研究概要 |
本研究はアシドーシスおよび興奮性アミノ酸によって誘発される脳細胞障害発現時における各種静脈麻酔薬の神経保護効果に関して,細胞外Ca^(2+)の役割ならびにアポトーシス誘導との関連性を加味して検索を行った。本成績は主題である「脳細胞環境系」における脳保護機構を解明するための基礎的成果と成り得る。「方法」1)初代培養脳神経細胞はラット小脳顆粒細胞を分取し,神経細胞とグリア細胞が共存する条件で実験を行った。2)細胞外アシドーシスはpH6.7およびpH6.3のKrebs-HEPES緩衝液で細胞を暴露し、細胞外Ca^(2+)除去群は緩衝液の1.2mMCaCl_2の代わりに1mMEGTAを加え液性調整行った。なお、対照群はpH7.4のKrebs-HEPES緩衝液とした。興奮性アミノ酸は0.1〜5mMグルタミン酸を用いた3)細胞障害の検索はCalcein法で、アポトーシスの検索はアポトーシススクリーニングキットで定量解析を行った。なお,蛍光感度を高めるため底面に低蛍光ガラスを貼りつけた特製のマイクロプレートを使用した.5)Bcl-2MRNAの発現は定量RT-PCR法で測定をした。4)静脈麻酔薬として,midazolam,pentobarbital,propofolを用いた.「結果」1)アシドーシスの20時間処置により生細胞数は約60%となった.さらに,細胞外C^(2+)除去によって20時間後の生細胞数は20-30%と著明に減少した.これらの減少はアシドーシスの程度に依存していた.2)アポトーシスの発現はアシドーシス処置によって増加し、細胞外Ca^(2+)除去群によりさらに増量した.3)静脈麻酔薬のいずれもは,アシドーシス誘発の細胞障害に対して明かな抑制作用が認められた.しかし,細胞外Ca^(2+)除去との併用処置において,midazolam投与群は抑制作用が認められた.興味あることに,アポトーシス抑制に対して静脈麻酔薬で薬効の相違が認められた.「考察」1)アシドーシス誘発の細胞障害ならびにアポトーシス発現の程度は細胞外Ca^(2+)によって調整される.2)アシドーシス誘発の脳細胞障害に対してmidazolamは細胞内Ca^(2+)の変動調整により脳保護作用を有する,ことが示唆された.
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