研究課題/領域番号 |
12470335
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
山口 脩 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 教授 (60006814)
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研究分担者 |
横田 崇 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 助教授 (20240939)
橋本 樹 福島県立医科大学, 医学部・泌尿器科, 助手 (70305374)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | β_3アドレナリン受容体 / 遺伝子変異 / 過活動膀胱 / 切迫性尿失禁 / cAMP / BKcaチャネル |
研究概要 |
定量的RT-PCRを用いて、ヒト膀胱におけるアドレナリン受容体(AR)サブタイプの発現量を検討した。サブタイプの中で、α_<1a>、α_<1b>、α_<1d>、β_1およびβ_2の発現量は少なく、β_3-ARのみが全体の94.4%を占めた。機能的にもβ_3-ARを介する弛緩のみが著明で、他のサブタイプの機能、関与は見られなかった。したがって、β_3-ARはヒト膀胱で優位の発現をし、蓄尿期における膀胱弛緩に重要な役割を担っていることが明らかとなった。 β-ARを介する膀胱弛緩の機序をmicrodialysis法を用いて検討した。排尿筋が静止状態にある時には、cAMPに依存する機序が作動し弛緩をもたらす。一方、排尿筋が収縮している場合は、cAMP依存性の他にcAMP非依存性の機序も関与することが明らかにされた。このcAMP非依存性の機序として、BKcaチャネルの開口が示唆された。同様の機序はβ_3-ARを介する弛緩反応にも観察された。すなわち、β_3-ARの機能として、cAMPの産生のみならずBKcaチャネルの活性化も考慮に入れなければならない。 ヒトβ_3-ARを発現させたCHO-K1細胞を使用し、受容体機能における遺伝子変異の影響を調べた。ノルアドレナリンによる結合度およびcAMP産生能に関する限り、wild typeとmutationの間に差は認められなかった。しかし、この結果をin vivoにおける弛緩反応の差に当てはめることはできない。 過活動膀胱(OAB)の患者100名とコントロール群101名を対象に、β_3-ARの遺伝子変異を解析した。ホモとヘテロを合せた遺伝子変異の出現頻度は、OAB郡で47%にもなり非OAB群(control)の22.8%と比較し有意の高値となった(p>0.01)。OABの病因は多数あるとされているが、OABの患者のうち約半数がβ_3-ARの遺伝子変異を持つことが明らかにされ、この遺伝子変異がOABの発症に強く関与していることが示唆された。したがって、β_3-ARはOAB(切迫性尿失禁)のgenetic markerになり得ると結論された。
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