研究課題/領域番号 |
12470336
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
水谷 陽一 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10243031)
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研究分担者 |
藤戸 章 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60315950)
河内 明宏 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90240952)
本郷 文弥 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80291798)
三木 恒治 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10243239)
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キーワード | 膀胱癌 / シスプラチン / DNAチップ / TRAIL |
研究概要 |
Cisplatin[CDDP]耐性克服因子としてTumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand(TRAIL/Apo-2L)に関して検討した。標的細胞として、3種類の膀胱癌株化細胞(T24,J82,HT1197)と3人の膀胱腫瘍患者より手術時に採取した膀胱癌組織より作製した膀胱癌初期培養細胞を用いた。また、膀胱癌細胞のTRAIL、抗癌剤に対する感受性は24時間のMTT試験にて検討した。用いた膀胱癌細胞はTRAILに対して種々の感受性を示していた。TRAILとCDDPとを併用したところ、T24細胞に対して相乗的殺細胞効果が認められた。CDDP耐性T24細胞、他の膀胱癌株化細胞であるJ82,HT1197細胞、膀胱癌初期培養細胞を標的細胞に用いても同様に相乗的殺細胞効果が認められた。また、この際のCDDPの濃度は低濃度(0.1μg/ml)でも認められた。CDDPの誘導体であるCarboplatinとTRAILとの併用によってもT24細胞に対して相乗的な殺細胞効果が認められたが、Trans-DDPとTRAILとの併用によってはT24細胞に対して相反的な殺細胞効果が認めらなかった。以上の実験はTRAILとADRとで膀胱癌細胞を同時に処理したが、その処理の順序を変えても相乗的な殺細胞効果が認められるのかどうかを検討したところ、TRAILとCDDPとの同時処理、またはCDDP処理後TRAIL処理にて強い殺細胞効果が認められた。TRAILとCDDPとの併用時におけるT24細胞のアポトーシスをHoechst33258染色にて検討すると、TRAIL単独またはCDDP単独処理に比較して、明らかにアポトーシスを起こしている細胞が増加していた。以上の結果から、膀胱癌に対して、アポトーシス誘導によるTRAILと副作用の少ない低濃度CDDPとの併用療法の可能性が示唆された。
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