研究課題/領域番号 |
12470337
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
平尾 佳彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00133207)
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研究分担者 |
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60109759)
趙 順規 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (90285362)
植村 天受 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90213397)
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キーワード | 腎細胞癌 / MN / CA9 / 血中癌細胞 / RT-PCR |
研究概要 |
以前より癌関連抗原MN/CAIXを標的分子とした腎細胞癌の診断治療について研究してきた。RT-PCR法を用いた血液中腎癌細胞の検出を目的とした本研究に関して、今年度われわれは、腎摘除術術中に腎静脈血採血を行い、腎静脈血液中の腎癌細胞の検出について検討した。 (材料および方法)今年度本研究に登録された症例は平成13年2月までで57例あり、今回そのうち46例について検討した。血液サンプルは腎細胞癌にて腎摘術を施行した症例より、腎動静脈結紮直前に21G注射針にて腎静脈を直接穿刺し、腎静脈血約10mlをヘパリン採取した。リンホセパールを用いて遠心し、buffy coat層(有核細胞分画)を分離後isogen処置し、抽出キットを用いてRNAを抽出、RT-PCR法にてMN/CA9 mRNAを検出した。また同時に摘出した腎癌組織、正常腎組織からもRNAを抽出しMN抗原の発現を検討した。 (結果)46例中43例(93.5%)の腎癌にてMN抗原の発現が認められた。また、腎静脈血サンプルからは43例中39例(90.7%)にMN/CA9陽性細胞が検出されたが、非腎癌患者より得られたコントロール血液サンプルからは、全くMN/CA9陽性細胞は検出されなかった。RT-PCRによるMN抗原陽性強度を1〜4の4段階に分けて臨床病理学的な各種パラメータとの相関について検討したところ、検出された腎癌細胞の発現強度は、強発現が12.5%、中等度が12.5%、軽度発現が65%と大半が軽度発現であった。また、検出の強度と病期や悪性度とは関係なく、手術中では腎静脈血内に非常に高率に癌細胞が存在することが確かめられた。
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