(1)hTERT・プロモーターの下流にアポトーシス誘導遺伝子の発現ベクターを組み込んだベクター(hTERT/caspase-8)を作製し、婦人科癌株化細胞に感染させるとがん細胞にアポトーシスが生じる。しかし、hTERT/caspase-8ではアポトーシスは癌細胞にのみ生じるが正常細胞には生じない。hTERT/caspase-8で治療すると癌細胞のみに効果が発現し、遺伝子治療の副作用軽減をはかれることを示した。 (2)更に簡便性と安全性の高いBAVS(binary adenovirus system)を開発した。アポトーシス誘導遺伝子であるBaxはAd/GT-Bax発現ベクターを使うとGV-16により強力に活性化される。このことから、GV-16がhTERTプロモーターで癌細胞にのみ発現するベクターを使った一次システム(Ad/hTERT-GV16)に加えてGV-16で活性化されるAd/GT-Baxベクターを同時感染させる。この二段構えのシステムはより強力に正常細胞には障害なく癌細胞のみにアポトーシスを誘導した。 (3)生体免疫能の増強策としてケモカインの一つである単球走化因子(MCP-1)の発現を増強させる系を開発した。癌細胞へのMCP-1遺伝子導入により細胞障害性T細胞が誘導されると同時に樹状細胞の集積が認められ、腫瘍の増殖が抑制された。さらに、シスプラチンを微量併用投与すると相乗効果が得られることを示した。
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