研究課題/領域番号 |
12470341
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水谷 栄彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00159162)
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研究分担者 |
野村 誠二 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20242860)
辻本 雅文 名古屋大学, 理化学研究所・細胞生化学研究室, 主任研究員 (00281668)
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キーワード | オキシトシン / オキシトシナーゼ / 転写 / 免疫染色 / 胎盤 / 遺伝子動物 / アミノペプチダーゼ |
研究概要 |
妊娠中のオキシトシナーゼの本体であるplacental leucine aminopeptidase (P-LAP)の妊娠分娩産褥に関わる生理的意義解明を通して、診断及び治療薬としての臨床応用の可能性を検討している。本年度は、これまで光顕での蛋白レベルに限られていた胎盤におけるP-LAPの局在について電顕レベルで合胞体細胞微絨毛に存在することを明らかにすると共に,in situ hybridizationによって遺伝子レベルでのP-LANの合胞体細胞における産生を証明した。また、P-LAPが同じく胎盤酵素のCD10と共にhCGの分解に関与している事を明らかにした。炎症存在下の胎盤においてはP-LAPの発現低下を通してオキシトシンの作用増強機構が存在すると仮説をたてたが、予想に反しP-LAP発現は、蛋白、遺伝子レベルとも炎症性サイトカインによって増加した。in vitroでのこの結果は実際に絨毛羊膜炎の存在する胎盤のP-LAP免疫染色によって裏付けられた。P-LAPは子宮内膜においては月経周期と共に局在を変化させ、特に排卵後は核下空砲に存在する事を免疫染色で明らかにしたが、こうした胎盤以外での研究の発展は、オキシトシンが排卵や細胞増殖にも関与している事から、子宮収縮以外でのP-LAPの役割を明らかにすると考えられる。本研究を通して、P-LAP過剰発現ラット、P-LAP欠損マウスをいった2種類の遺伝子改変動物の作成に成功した。これらの解析は今後の検討課題となったが、これらの動物の妊娠分娩を中心とした生理機構の観察は、陣痛発来、分娩におけるオキシトシンの関与、胎盤プロテアーゼの意義を解明するのに大きく寄与するものである。
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