研究課題/領域番号 |
12470347
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
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研究分担者 |
石田 功 キリンビール(株), 医薬カンパニー, プロジェクトリーダー(研究職)
久布白 兼行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50170022)
塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40118972)
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キーワード | TCマウス / ヒト型モノクローナル抗体 / 免疫組織化学的染色 / 子宮体癌 / 卵巣癌 / Western blotting |
研究概要 |
モノクローナル抗体(Mab)の作製技術が開発されて以来、既に四半世紀以上がたとうとしているが、その殆どがマウス型であったため、実地臨床でヒトに投与する場合に、human anti-mouse antibody(HAMA)の産生が大きな隘路になっていた。研究分担者は、この障害を乗り越えるために、ヒト染色体そのものをマウス個体への遺伝子導入ベクターとして利用するという全く新しいアプローチで、完全なヒト抗体(重鎖+軽鎖κ)を発現するTCマウス(trans-chromosomic mice)を世界に先駆けて開発することに成功した。 本研究では、このTCマウスを用い癌細胞に対するヒト型MAbを開発し、癌治療への応用を志向した基礎的実験を行うことを目的とした。 昨年度より子宮体癌由来培養細胞(SNG-S)を免疫原としてヒト型Mabの作製を試み、子宮体癌組織の約70%弱と反応し、正常子宮体内膜とはほとんど反応しないヒト型Mab 1-1Cを得ることに成功した。免疫組織化学的染色では子宮体癌の他、正常の子宮頸管腺、頸部腺癌とも高い反応性を示した。また、1-1Cの認識抗原を検討したところ、その反応性はトリプシン処理では染色性に変化がなかったが、過沃素酸処理では反応性が完全に消失したことから、認識抗原には糖鎖が関与していることが示唆された。さらに、免疫原であるSNG-S細胞抽出物との反応性をSDS-PAG電気泳動western blottingにより検討したところ、膜画分の分子量90kDaおよび180kDa付近に陽性バンドが認められたことから、1-1Cの認識抗原は、細胞膜上の糖蛋白質上の糖鎖である可能性が明かとなった。 さらに、本年度は卵巣明細胞腺癌由来培養細胞(RMG-1)を免疫原として、明細胞腺癌と高い反応性を示す、ヒト型MAbの作製にも成功しつつある。
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