研究課題/領域番号 |
12470351
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
瓦林 達比古 福岡大学, 医学部, 教授 (30142350)
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研究分担者 |
井上 善仁 福岡大学, 医学部, 講師 (20260698)
北村 憲司 福岡歯科大学, 教授 (30112345)
坂本 康二 福岡大学, 医学部, 教授 (30078761)
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キーワード | 子宮筋 / 縦走筋 / 輪走筋 / 妊娠 / 分娩 / 電位依存性Caチャネル |
研究概要 |
子宮筋の電位依存性Caチャネル(VDCC)はT型とL型の2種類存在する。本研究ではこれらの生理的役割を調べる目的で、T型a1サブユニットの3つのサブタイプa1G,a1Hと、またL型a1CのmRNA発現量をラットの妊娠経過と関連させて検討した。ラットでは妊娠中期に細胞数増加と肥大が生じる。縦走筋では、T型a1G,a1H、L型a1Cはこの中期に急激な増加を示した後、次第に減少したことから増殖、肥大が急速に生じる時期に選択的に関与すると考えられた。しかし、分娩直前に最低の発現量を示した後に、分娩中には再び急速な発現増加に転じた。L型はT型と比べて発現量が2、3倍多いことから、分娩時筋収縮の主たるCa流入経路として、またT型はペースメーカー電流として発現、機能している可能性が考えられた。分娩直前にいずれも未妊娠レベル以下に減少したことは、この時期に電気的な活動が抑えられることを示し、早産を避ける仕組みとして働いていると考えると興味深い。一方、輪走筋では妊娠中期にはL型T型共に緩やかな増加を示し、a1Gを除いて分娩時まで増加し続けた。しかし、a1Gを除くCaチャネルの発現レベルは縦走筋に比して低く、特にL型では1/3以下で、輪走筋では分娩時以前のCa流入機構におけるVDCCの役割は相対的に低く、受容体制御Caチャネルなどが優勢に働いている可能性を裏付けるデータとも言える。しかし、分娩時のL型、T型発現レベルは縦走筋と同程度高いことから、VDCCの発現は分娩直前に急激に変化し、妊娠の最終過程である分娩時には縦走筋・輪走筋共、VDCCは主なCa流入経路また興奮収縮のトリガー機構として機能すると考えられた。以上、輪走筋と縦走筋では、T型、L型共に発現量のレベル、また妊娠経過に伴った発現量の変化に明らかな違いが認められ、発現調節の面からも異なる生理的作用を担っていることが示唆された。
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