研究課題/領域番号 |
12470352
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研究機関 | 広島県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
今泉 敏 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (80122018)
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研究分担者 |
細井 裕司 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80094613)
出口 利定 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50143623)
横田 則夫 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (70230646)
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キーワード | コミュニケーション / 脳機能 / 光トポグラフ / 脳磁図 / 機能的MRI / コミュニケーション障害 / 感情 / 漢字 |
研究概要 |
コミュニケーション脳機能とその障害の様相を脳磁図、機能的MRI、光トポグラフ(NIRS)を用いて解析した。今年は特に日常的な言語訓練の場面でも被験者に負担を掛けないで、コミュニケーション脳機能を計測するシステムの開発に力点を置いた。まず、漢字の字体、音、活用、意味などの諸要素の処理に関わる脳内部位を機能的MRIを用いて解析した。成人18名を対象に視覚的に呈示した漢字3文字を、字体、音、活用、意味などの諸要素に関して分類する課題を行い、漢字処理の脳機構を解析した。その結果、左後頭葉下部から左側頭葉後下部(BA37野)の活動と左前頭前野後部の活動がすべてに共通して観測された。意味、特に動詞的意味の処理において、ブローカ野前部に活動が広がり、音の処理ではむしろブローカ野後部に活動が限定された。動詞の活用ではさらに小脳外側部にも活動が観測された。漢字処理ではその属性に応じて複数の脳部位が強調的に活動すること、左側頭葉後下部と左前頭前野後部の活動が中心になることが明らかになった。つぎに、聴覚刺激(音声)と視覚刺激(顔表情)から話者の感情を認知する脳過程を機能的MRIで解析した。2名が「こんにちは」などの非感情語を喜び、怒り、嫌悪などの感情を込めて発話した状況をVTR撮影して、それらから音声と顔表情の種種の組み合わせをコンピュータで作成した。これらの視聴覚刺激を成人18名に提示し、話者が被験者に好意を示しているか、嫌悪感を示しているかを判断させた。その結果、視覚提示の場合、左右視覚野、左右側頭葉後下部の活動が主であるのに対して、聴覚提示、視聴覚提示では、左右上側頭溝、左右前頭葉後下部を中心に活動が広がり、音声に注意を向けたときにはこれらの領野の活動はさらに増強した。最後に、被験者に負担を掛けないでコミュニケーション脳機能を計測するシステムを光トポグラフを用いて構築した。文生成、読字、語想起課題などを行い、機能的MRIの結果に対応する脳部位の活動を計測できることを確認した。以上の研究によって、乳幼児から高齢者に至るまで日常的な場面でのコミュニケーション脳機能をある程度計測できることが確認できた。
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