研究課題/領域番号 |
12470354
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岡本 美孝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40169157)
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研究分担者 |
荻野 純 山梨大学, 医学部, 講師 (00177156)
松崎 全成 山梨大学, 医学部, 講師 (90283217)
鈴木 誉 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10344988)
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キーワード | 急性中耳炎 / ウイルス / 細菌 / 肺炎球菌 / 組織培養 / 気道アレルギー / 核酸増幅 / ウイルス中和抗体 |
研究概要 |
急性中耳炎の発症とその病態に及ぼすウイルス感染、細菌感染の影響について検討を進めた。急性中耳炎に羅患した未治療の小児より鼓膜切開にて中耳貯留液及び上咽頭ぬぐい液を採取し、ウイルス、細菌の検出を行った。34症例中13例(37%)の中耳貯留液中にウイルス遺伝子が検出され、上咽頭ぬぐい液中にも同じウイルス遺伝子が検出された。上咽頭ぬぐい液中にウイルス遺伝子が検出された症例では、2例のみに中耳貯留液中でウイルスは検出されなかった。 一方、細菌は培養検査では10例の中耳貯留液中に検出され、上咽頭ぬぐい液での細菌の一致率は50%であった。細菌の中で最も高い頻度で検出された肺炎球菌について核酸増幅法にて検討したところ、13例の中耳貯留液中は肺炎球菌の遺伝子が検出され、上咽頭ぬぐい液との一致率は80%であった。 一方、発症後2ヶ月以内の急性中耳炎の反復、滲出性中耳炎への移行は20例(59%)に認められ、気道アレルギーを合併する患児(21例)では、合併しない患児に比較して有意に経過不良群が多く(80%対25%)、さらに気道アレルギー合併群で中耳貯留液中にウイルスが検出されたもので、最も経過不良群への移行が高かった。 以上より、小児急性中耳炎の少なくとも37%にウイルス感染が関与していること、急性中耳炎患児の上咽頭ぬぐい液を検討することで、中耳のウイルス感染の有無が高率に判断出来ること、細菌感染の関与が疑われた中耳貯留液の検出は29%程度であり、上咽頭ぬぐい液との一致率も高くはないこと、気道アレルギー合併例で経過不良例が多く、近年みられる小児急性中耳炎の難治化には、気道アレルギー患者の増加やアレルギー発症の低年齢化が関与している可能性があることが示された。最も高頻度に検出されたRSウイルスに対する高力価中和抗体は、局所投与にて上気道のウイルス排除に非常に効果が高いことも示した。
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