研究概要 |
1)免疫組織化学的手法を用いて内耳におけるconnexin 26,connexin 30,connexin 31,Na,K-ATPase,Na-K-Clcotransporterの発現を検討した。connexin 26,connexin 30は上皮系細胞、結合組織系細胞のいずれにも発現していることが明らかとなった。これに対してconnexin 31は結合組織系細胞に限局して発現しており、内耳におけるgap junctionの多様性が明らかにされた。また、ラセン靭帯fibrocyteにおいてNa,K-ATPase,Na-K-Cl cotransporterが豊富に分布していることが示され、カリウムイオン輸送機構におけるfibrocyteの重要性が再確認された。 2)電位依存性カリウムチャンネルの一つであるKv3.1bがラセン靭帯fibrocyteに豊富に発現することを解明した。Kv3.1bは内耳においてはイオン輸送の調節に関与している可能性が想定され、その成果を2001年2月にアメリカ合衆国フロリダ州セントピータースバーグビーチで開催されたARO Midwinter Meetingで発表し、極めて高い国際的評価を得た。 3)gap junctionのblockerであるlong chain alcoholの外リンパ灌流実験を行った。hexanol,heptanolの灌流後、明確な内リンパ電位の低下がみられた。この結果により、gap junctionを介したイオン輸送機構が内リンパ電位形成において極めて重要な役割を担っていることを生理学的に証明することが出来た。 4)臨床的研究として遺伝性難聴症例の聴力像の解析を行った。
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