超音波を利用した最重度難聴者のためのコミュニケーションエイドに関する基礎的研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12470359
• 研究機関: 奈良県立医科大学
• 研究代表者: 細井 裕司 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80094613)
• 研究分担者: 米本 清 岩手県立大学, 社会福祉学部, 助教授 (90305277) ; 渡辺 好章 同志社大学, 工学部, 教授 (60148377) ; 今泉 敏 広島県立保健福祉大学, コミュニケーション障害学科, 教授 (80122018)
• キーワード: 超音波 / 最重度難聴者 / コミュニケーション / 補聴器 / 脳磁図 / 聴覚心理 / ダイナミックレンジ / 刺激持続時間

研究概要

超音波聴覚について聴覚心理的検討と脳磁図による脳機能の検討を行った。聴覚心理的に、超音波の呈示部位、聴取可能者、音像、変調超音波聴覚などを調べた。脳磁図によって、超音波聴覚におけるダイナミックレンジならびに刺激持続時間とN1mの関係を調べた。
1)聴覚心理的検討
(1)呈示部位:乳様突起上および胸鎖乳突筋上に呈示したとき音感覚が感度良く得られる。(2)聴取可能者:聴力が100dB未満の被験者では音感覚が得られた。平均聴力レベルが両側とも100dB以上の感音難聴者53名では、28名で聴取できたが、100dB未満の難聴者に比べ超音波が聴取困難になる傾向があった。(3)音像:可聴音とは異なる性質をいくつか有していた(4)変調超音波:語音や純音・音楽で振幅変調した超音波を呈示したとき、その信号波成分を聴取することが可能であった。
2)脳磁図による検討
(1)超音波のダイナミックレンジ:聴力正常者6名に対して超音波、可聴音の音圧をそれぞれ変化させたときのN1mの大きさを脳磁図を用いて測定することによって、脳磁図における超音波のダイナミックレンジと可聴音のダイナミックレンジを比較した。その結果、気導音と比較して超音波の場合、音圧の変化に対してN1mの大きさの変化幅が大きいことが認められた。
(2)超音波聴覚刺激持続時間が聴覚中枢に及ぼす影響:聴力正常者4名に対して超音波、可聴音の刺激持続時間をそれぞれ変化させたときのN1mの大きさを脳磁図を用いて測定した。その結果、骨導超音波と1kHz気導音の間に刺激持続時間による影響について明らかな差は認めなかった。

研究成果

• [文献書誌] 細井 裕司: "高齢者における病態生理と対応-高齢難聴者の補聴器利用-"日本耳鼻咽喉科学会会報. 104巻・5号. 518-521 (2001)
• [文献書誌] 細井 裕司: "耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい機械・器具 VI.その他の機械 2.デジタル補聴器"耳鼻咽喉科・頭頸部外科. 73巻・5号. 141-146 (2001)
• [文献書誌] 阪口 剛史: "骨導超音波の頭部内音場解析"電子情報通信学会論文誌. J84-A巻・12号. 1541-1548 (2001)
• [文献書誌] Sakaguchi Takefumi: "Inner head acoustic field for bone-conducted sound calculated by FDTD method"Japanese Journal of Applied Physics. 41巻・5B号(印刷中につき未定). (2002)
• [文献書誌] 阪口 剛史: "時間領域差分法による生体内音場解析-骨導超音波と聴覚末梢の関係に関する検討-"第22回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム. 169-170 (2001)
• [文献書誌] 阪口 剛史: "骨導超音波の"きこえ"と頭部内音場"信学技報. 18. 41-48 (2001)
• [文献書誌] 岡本 学: "超音波骨導ヘッドホン"信学技報. (未定). (2002)
• [文献書誌] 細井 裕司: "CLIENT21-21世紀耳鼻咽喉科の臨床-7、補聴器と人工内耳"中山書店. 399 (2001)
• [文献書誌] 細井 裕司: "補聴器Q&A"金原出版社. 149 (2001)
• [文献書誌] Sakaguchi Takefumi: "Biomag 2000"Helsinki University of Technology, Laboratory of Biomedical Engineering. 1060 (2001)
• [文献書誌] Nishimura Tadashi: "Biomag 2000"Helsinki University of Technology, Laboratory of Biomedical Engineering. 1060 (2001)
• [文献書誌] Nakagawa Seiji: "Biomag 2000"Helsinki University of Technology, Laboratory of Biomedical Engineering. 1060 (2001)