研究概要 |
1.ヘルペスワクチンの作製 ヘルペスウイルスのenvelopeに表現されているgDのうちsignal peptideを除いた部分をコードしているDNAをベクターに組み込んでgD DNAワクチンを作製した。また,これと平行して,ワクチンの効果を更に増強するためにgDとサイトカインのIL-2を融合させたキメラ蛋白を発現するgD-IL-2 DNAワクチンを作製した。両ワクチンを十分量作製可能なシステムを確立した。 2.細胞内サイトカイン染色法の確立 T細胞の細胞内サイトカインを染色し、これをFACSにてsortingする系を確立するためにT細胞をionomycin,PMAで非特異的に刺激したものをpositive controlとしたが、CD4細胞がdown-regulateされてしまうため、更にmonensinを加えることによってこのdown-regulateを抑制することができた。そして、この状況でIL-2の抗体で染色してFACSにてsortingすることによって、60%以上の細胞がIL-2陽性となることを確認することができた。このFACSを用いた各種サイトカイン陽性細胞の検出は角膜ヘルペス患者の角膜内や末梢血中のT細胞のヘルペスに対する反応性の解析にも有用である。 3.角膜ヘルペス患者角膜よりのT細胞の分離 角膜ヘルペスにおけるT細胞の役割を解析するために壊死性角膜炎患者に角膜移植を施行した際に得られた角膜片よりT細胞を分離することに成功した。また、同患者の末梢血から得られたB細胞をEBウイルスにて不死化したものを抗原提示細胞として用いて、このT細胞をHSV抗原によって刺激することができた。その後、上記の細胞内サイトカイン染色法に供し、2.3%の細胞がIL-2を産生することが判明した。このT細胞は現在クローニング中であり、クローン化された状況で更に詳細な解析が可能となる。
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