研究概要 |
特発性黄斑円孔は硝子体牽引による機械的作用の他に,中心窩ミュラー細胞のアポトーシスが関与している可能性が示唆されるデーターが得られた。特発性黄斑円孔の硝子体中にはセリンプロテアーゼの一種であるキマーゼおよびトリプターゼ活性が上昇しており,キマーゼは未分化な細胞に対してアポトーシス作用を有している。培養ミュラー細胞をhFGFで未分化な状態にしたうえで,キマーゼを作用させると,培養細胞中にTunnel陽性細胞が増加した。またキマーゼの添加により細胞増殖が抑制された。サル眼の硝子体中にキマーゼを注入すると中心窩のミュラー細胞にアポトーシスが見られた。中心窩ミュラー細胞は未分化な幹細胞様の作用を有している可能性があり,今後黄斑円孔の発症をアポトーシス抑制という観点から予防できる可能性が示唆された。
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