研究概要 |
1.ヒト円錐角膜とHLAの関連 自然発症円錐角膜(SKC)マウスの原因遺伝子を連鎖解析したところMHC(major histocompatibility complex)領域に連鎖したので、ヒトの円錐角膜症例についてMHC領域にあるHLA(human lymphocyte antigen)タイプとの関連を検索した。京都府立医科大学眼科学教室で円錐角膜と診断された90症例についてHLA class I(HLA-A,-B,-C)とClass II(HLA-DR,-DQ)を分析したところ、20歳以下で発症した若年性発症例でHLA-A26,B40,DR9について統計学的に有意に頻度が高いことが判明した(カイ自乗値6.45,P=0.01; カイ自乗値6.78,P=0.01;カイ自乗値3.99,P=0.05)。円錐角膜の分子病態に何らかの免疫学的機序が関与する可能性を示唆して興味深い。 2.日本産野生マウスに発見した円錐角膜様病変の連鎖解析 日本産野生マウス(モロシヌス)に小出血斑をしばしば伴う円錐角膜様病変を発見した。この角膜病変が常染色体劣性に遺伝することを確認したので、このマウスをJapanese keratoconus(JKC)マウスと命名した。このマウスの角膜は円錐形を呈するが病理組織像では炎症所見を伴う。原因遺伝子の遺伝子座位を連鎖解析したところ、第13染色体D13Mit21,D13Mit252,D13Mit279,D13Mit39に連鎖した。この付近にはカテプシン、インターロイキン、ケモタキシン等の遺伝子が存在し興味深い。
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