研究概要 |
前年度までに日本産野生マウス(モロシヌス)に円錐角膜様病変を示すマウスを発見しJKC (Japanese keratoconus)マウスと命名した(M.Tachibana, M.Okamoto, M.Sakamoto, Y.Matsushima ; Mamm Genome 13,692-695,2002)。さらに、ラボラトリーマウス(BALB/c)に自然発症する円錐角膜様病変を示すマウスを発見し、SKC (spobonaneous keratoconus)マウスと命名した(M.Tachibana, W.Adachi, S.Kinoshita, Y.Kobayashi, Y.Honma, H.Hiai, Y.Matsushima ; Investigative Ophthalmology & Visual Science,43,51-57,2002)。SKCマウスでは、興味深いことに雄にしか円錐角膜が認められない。さらに興味深いことに、雌でも4週令くらいでテストステロン(2mg/マウス)を注射すると発症するし、雄では4週令くらいで睾丸を除去すると発症しなくなる。これらのことはSKCマウスでは円錐角膜の発症にアンドロゲンが深く関与していることが示唆される。連鎖解析の結果、マウスの責任遺伝子、ないしは感受性遺伝子は第17染色体のMHC (major histocompatibility complex)領域に連鎖することが判明した。この領域にはsex-limited protein (slp)の遺伝子があり、この遺伝子が雄にしか発症しないことに関連があるのかもしれない。一方この領域に連鎖する疾患としては自己免疫疾患がよく知られている、そこで平成15年度はマウスの抗角膜抗体の濃度の測定を試みたところ、加齢とともに上昇傾向が見られた。これは対照としたBALB/cマウスと比べても、さらに高い傾向にあった。
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