小児短腸症候群における小腸の適応能力の解明と小腸移植の適応基準に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12470373
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 水田 祥代 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30038856)
• 研究分担者: 山内 健 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (50294921) ; 窪田 正幸 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50205150) ; 田口 智章 九州大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20197247) ; 荻田 桂子 九州大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床) ; 中尾 真 九州大学, 医学部・附属病院, 医員(臨床)
• キーワード: 新生仔ブタ / 短腸症候群モデル / 肝組織血流 / 門脈血流 / 肝機能障害 / 肝線維化 / 小腸移植 / 小腸大量切徐

研究概要

これまで新生仔ブタ短腸症候群モデルを作成し、短腸症候群に伴う肝機能障害の発生機序について肝血流、その他の側面より検討を加えてきた。
最初の段階として、新生仔ブタ短腸症候群モデルを作成し長期に生存させなければならないが、手術手技の習熟や麻酔管理・術後管理方法の工夫によって、これまで4例の長期生存(2週間)に成功している。それらの実験結果より、肝組織血流は手術前後に有意な変化は認められなかったが、門脈血流に関しては腸切除直後に著明な減少を認め、2週間後でも腸切除前の20〜50%のレベルまでしか回復しなかった。また、それらの個体の血液・組織標本(小腸・肝臓)についても検討を加えた。血液生化学的検査では明らかな肝機能の低下は認められなかった。組織標本において、空腸・回腸ともに絨毛その他の変化から術後1週間目からadaptationを示す様な変化(絨毛長・陰窩深の増加)が認められた。肝臓では、肝細胞の空胞化・微小胆汁栓の出現・軽度の肝線維化が認められた。これらの結果から、大量腸切除を行った場合術後2週間からすでに肝組織に肝機能障害を示唆させるような変化が現れることがわかった。
今後は、さらに長期生存例を増やし、免疫染色や分子生物学的な手法も加えて肝機能障害の発生機序について検討を加える予定である。

研究成果

• [文献書誌] Suita S, Yamanouchi T, Masumoto K, et al.: "Changing profile of parenteral nutrition in pediatric surgery : A 30-year Experience at one institute"Surgery. 131. S275-S282 (2002)
• [文献書誌] Taguchi T, Suita S: "Segmental small-intestinal transplantation : A comparison of jejunal And ileal grafts"Surgery. 131. S294-S300 (2002)
• [文献書誌] Msumoto K, Suita S, Taguchi T, Yamanouchi T, et al.: "Manganese intoxication during intermittent parenteral nutrition"Journal of Parenteral & Enteral Nutrition. 25. 95-99 (2001)
• [文献書誌] Nakao M, Suita S, Taguchi T, Hirose R, Shima T: "Fourteen-year experience of acetylcholinesterase staining for rectal mucosal biopsy in neonatal Hirschsprung's disease"Journal of Pediatric Surgery. 36. 1357-1363 (2001)
• [文献書誌] Nakao M, Nakamura M, Nishimoto Y. Suita S, et al.: "Technical aspects of pig model in living-related small intestinal transplantation"Asian Journal of Surgery. 24. 353-356 (2001)
• [文献書誌] Ieiri S, Nishimura J, Hirano K, Suita S, Kanaide H: "The mechanism for the contraction induced by leukotriene C4 in guineapig taenia coli"British Journal of Pharmacology. 133. 529-538 (2001)