研究課題/領域番号 |
12470377
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
中塚 貴志 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80198134)
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研究分担者 |
波利井 清紀 東京大学, 医学部, 教授 (50111539)
市岡 滋 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (60306272)
米原 啓之 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (00251299)
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キーワード | 神経 / 移植 / 異種移植 / 免疫抑制 / 免疫寛容 / 再生 / 軸索 |
研究概要 |
末梢神経の欠損に対する再建法は、臨床では自家神経移植が一般的に多用されてきた。しかし、外傷、先天性疾患などによる広範囲の神経欠損・損傷例では長い自家神経移植が必要となり、採取部の知覚麻痺や運動麻痺など大きな犠牲を払わねばならなかった。この問題を解決すべく、古くから同種神経移植や異種神経移植が動物実験などで試みられてきた。最近では採取神経の凍結処理や免疫抑制剤の投与による同種神経移植の実験、さらには抗接着分子抗体などを用いた末梢性免疫寛容の誘導による同種移植が心臓などの臓器で行われ成功している。しかし、これらはラットなどを用いた実験の結果であり、より高度で複雑な免疫機構を有する人体への臨床応用には必ずしも充分な科学的根拠を与えるものではない。これに対し、より抗原性が高く生着が困難とされている異種神経移植が動物実験で可能とされれば、その手法が臨床への応用に道を開くものと考えられる。また同時に動物の神経が臨床での供給源となればドナーの犠牲も克服されるので、末梢神経の修復を必要とする患者には大きな福音となる。 平成12年度の研究では、まず異種神経移植の実験モデルの確立とその評価を行なう。移植神経としてマウスの坐骨神経を採取し、ラットの坐骨神経欠損部に移植する。そしてこの移植に際し、ラットを無処置群(対象群)、免疫抑制剤を投与した群、抗接着分子抗体を投与した群、採取神経を凍結保存した群に分け、神経軸索の再生を組織学的ならびに筋電図学的に検討している。すでに予備実験として、家兎の神経を凍結保存してラットに移植した群では軸索の再生を認めており、げっ歯類間の異種移植では軸索再生の可能性は更に高いと思われる。さらに各群間で再生軸索の密度、径などを画像解析し、神経再生の比較検討を行なう予定である。
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