研究概要 |
申請者は平成12年度において,ヒト組織内リンパ管内皮細胞における接着因子発現についての超微細構造学的研究から,以下のことを明らかにした. (1)健常組織内リンパ管は一般的に,PECAM-1を内皮細胞膜表層に発現する. (2)PECAM-1の発現は一般的に,血管では管腔側で,またリンパ管では管腔側および基底膜側の両者で観察される. (3)リンパ管基底膜側におけるPECAM-1の発現は基底膜の有無に相関しない. (4)健常組織内リンパ管は一般的に,デスモゾーム関連細胞内プラーク蛋白であるデスモプラキンを細胞質内に発現する. (5)デスモプラキンの細胞質内分布に発現部位の特異性は見られない. 以上の研究成果は,組織内リンパ管内皮細胞が基底膜側に発現したPECAM-1によって組織内リンパ球と相互作用する可能性を示唆するものである.また,デスモプラキンを,デスモゾーム構築とは関係なしに細胞内に一般的に蓄積している可能性を示唆する.
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