研究概要 |
本年度はリンパ管におけるデスモプラキン発現の特異性とPECAM-1発現の局在を検索した.本研究の結果,抗デスモプラキン抗体を用いて,ヒト腸管,歯肉および舌に対して行った透過電子顕微鏡による免疫組織化学的検索において,デスモプラキンの発現は細静脈や毛細血管では見られないこと,また,リンパ管特異的な構造的特徴である内皮細胞間のopen junctionやoverlapping junction,あるいはanchoring filamentなどが観察される管腔のみ,デスモプラキン発現が見られることを超微細構造学的に証明し,デスモプラキンがリンパ管の有用なマーカーであることを示した(Ebataら,2001a).さらに,血管内皮細胞がPECAM-1を管腔側にのみ発現したことに対して,リンパ管内皮細胞は管腔側のみならず基底膜側にも発現することを見いだした(Ebataら,2001b).このことは,組織内リンパ球が,基底膜側にPECAM-1を発現しているリンパ管内皮細胞と接着することが可能であることを示唆する.平成14年度は本研究結果に基づき,PECAM-1の同種親和性結合を介したリンパ球のリンパ管内皮基底膜側への接着が,組織から所属リンパ節に帰巣することが知られているメモリーT細胞やgamma-delta T細胞,あるいはマクロファージ系細胞のあるもののリンパ管への移入に貢献する可能性を検討する.
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