研究概要 |
本年度は、ヒト組織内微小リンパ管におけるCCL21、TLR2およびTLR4の発現を検索した結果、以下のことを明らかにした。 1)ヒト小腸粘膜下層の集合リンパ管ではCCL21,TLR2およびTLR4の発現は見られない。 2)微絨毛の中心リンパ管と粘膜固有層の毛細リンパ管は通常CCL21を発現する。 3)微絨毛の中心リンパ管と粘膜固有層の毛細リンパ管ではTLR2およびTLR4の発現が見られる。 4)血管におけるCCL21、TLR2およびTLR4の発現は見られない。 これらの結果は、小腸脈管におけるCCL21、TLR4およびTLR4の発現はリンパ管優位であることを示すものである。また、リンパ管内皮細胞がTLR2およびTLR4によってPAMPsを認識する可能性、これによる転写因子活性化がCCL21産生を誘導する可能性を示唆する(kuroshimaら、2004a)。 また、健常ならびに炎症ヒト歯肉組織を用いた検索で以下のことを明らかにした。 1)健常組織では粘膜固有層の集合リンパ管の一部に、また毛細リンパ管にCCL2の発現が見られる。 2)炎症組織粘膜固有層のリンパ管ではCCL2の発現は見られない。 3)リンパ管および血管の両者において、TLR2およびTLR4の発現は見られない。 これらの結果は、口腔組織において、CCL21産生能はより末梢のリンパ管内皮細胞で高いこと、CCL21の発現が炎症性因子によって抑制される可能性を示唆する(kuroshimaら2004b)。 さらに、口腔扁平上皮癌細胞株HSC2,HSC3,HSC4,HO1myu1,HO1N1,Ca.922,SAS, KBはCCL21をリガンドとするCCR7を通常、遺伝子レベルで発現することを明らかにした。また、デスモゾームカドヘリンを消失しているが、デスモプラキンを発現することを明らかにした。
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