研究課題/領域番号 |
12470383
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
星野 悦郎 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90124619)
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研究分担者 |
上松 弘幸 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40242432)
佐藤 尚美 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20018427)
中澤 太 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60115053)
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キーワード | 感染防御機構 / バイオフィルム / 放線菌症 / カプセル化 / 好中球 / 国際研究者交流 / 多国籍 |
研究概要 |
生体の免疫反応に抵抗する感染細菌側の機構として多糖体等の保護皮膜を作るバイオフィルムの形成がある。この保護皮膜は細菌が作るものとされているが、本研究では宿主側が細菌塊を封じ込め、カプセル化し、菌塊として排除しようとする働きを探るもので、典型的な例は放線菌症で観察される菌塊粒にある。本年度の研究成果の概要は、1.カプセル化に関連する物質:動物実験による放線菌症感染病巣の細菌塊を被包している無構造な層はHE染色で塩基好性を示し、通常みられる中性多糖とは異なっていた。好中球由来の塩基好性を示すタンパク質や核酸が考えられた。 (1)細菌とヒト白血球とのin vitro反応 ヒト好中球とActinomyces israeliiと反応させた菌塊のカプセルを蛍光標識一微分干渉観察により、好中球のDNAがA. israelii菌体を覆っており、核酸が細菌表面への被覆に関わっていることが示された。また、膿を想定した白血球成分とも反応させたところ、その吸着が観察された。この様な細菌群には、抗酸性染色を行うと弱抗酸性に染まるものが出現する。好中球由来の高分子が放線菌に吸着し、その量によって弱抗酸性が発現するものと思われた。 (2)根尖病巣における異物カプセル化現象 試料となる根尖病巣を採取し、菌種特異抗体を用いた間接蛍光標識と抗酸性染色との重染色による観察を行った。A. israeliiが治療困難とされた多くの症例で見出されたが、この場合、上記の蛍光標識-微分干渉による観察により、無構造の有機物に被覆されて菌塊が観察された。 2.根尖病巣治療のおける3Mix-MP療法 薬剤運搬の役を担うプロピレングリコールがバイオフィルムを越えて効果的に3Mixを通過させ、殺菌している事が示された。
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