研究分担者 |
中野 敬介 岡山大学, 歯学部, 助手 (10325095)
石割 裕三 岡山大学, 歯学部, 助手 (10304312)
長塚 仁 岡山大学, 歯学部, 助教授 (70237535)
小守 尋文 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00252677)
長岡 紀幸 岡山大学, 歯学部, 教務員 (70304326)
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研究概要 |
器官形成の上皮間葉相互作用に関わる因子として注目されているBMPファミリーが,歯胚分化過程のいかなる時期で発現しているかをin situ hybridization法を用いて検索した。胎生11日にすでに発現が見られたのはBMP-4および7であり,胎生12日になるとBMP-2の発現も見られた。一方,歯胚基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンのα1からα6までの6種類のα鎖の歯牙発生過程での局在と消長を免疫組織学的に観察した結果、歯胚上皮基底膜にα鎖の部位および時期特異的な局在と組み合わせが存在することを明らかになった。特に帽状期後期からの内エナメル上皮基底膜には、α1,α2,α4鎖を含む他の臓器にはない特異なα鎖の組み合わせが存在し、その組み合わせが歯胚特異的な形態形成、細胞分化に関与していることが示唆された。エナメル上皮腫では胞巣の一部に限局して,内エナメル上皮と同様なα鎖の組み合わせが見られた。 Cbfalノックアウトマウスにおける臼歯の歯胚発育は、組織学的には帽状期で停止しており,IV型コラーゲンα鎖の分布もα5鎖が特異な染色性を示すなどの所見が認められた。α3鎖のノックアウトマウスでは,鐘状期における歯胚形態がwild typeと比較して不正な形態を示した。 最近、上皮と間葉から分泌される多くの成長因子が基底膜と結合し、濃縮され、基底膜構成成分と共同で器官形成に作用することが明らかにされつつある。これらの結果は基底膜と成長因子の共同作用が初期歯胚形態形成、細胞分化に関与している可能性を示唆している。
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