涙腺、唾液腺の組織破壊により惹起される眼乾燥、口腔乾燥を主徴とした慢性的臓器機能欠損疾患の治療法として、近年再生医学による臓器の機能再生が試みられている。そこで今回、Lama promoterを用いたプロラクチン(PRL)トランスジェニックRatが作製し、その解析を行うことにより、PRLの唾液腺、涙腺組織に及ぼす影響を検討する。すなわち涙腺組織、唾液腺組織にPRLを過剰発現させることにより、涙腺細胞、唾液腺細胞の再生能や加えて分泌機能に及ぼす影響について検討する。導入遺伝子を局所発現させるためにLama promoterを用いた。このpromoterはparotid secretory protein(PSP)遺伝子の上流に位置し、PSPの発現を調整している。PSPは涙腺においてもその発現が報告されており、Lama promoterを用いる事で、導入遺伝子の唾液腺、涙腺への局所発現が可能と考えられる。Eco RI-Bst Iリンカープライマーを付与したLama promoter-rat PRL cDNAクローンを、wister rat受精卵の前核へマイクロインジェクションにより導入した。続いて、生存している受精卵を、偽妊娠マウス(仮親)の子宮に約20個移植し出産させた後、出産後4週目に、尾の先端の細胞から抽出したDNAを用いPRLに対するプライマーによりPCRを行うことで遺伝子導入の成否を確認し、そのF0マウスを交配させ継代維持すると共に検討を加え、一部の受精卵を凍結保存した。
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