研究課題/領域番号 |
12470389
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
川島 博行 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40169719)
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研究分担者 |
池亀 美華 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70282986)
吉澤 達也 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40313530)
石橋 宰 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70293214)
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キーワード | メカニカルストレス / 骨芽細胞分化 / 骨形成 / 遺伝子発現 / クローニング / BMP-4 / α-adaptin C / sIL-1RAcP |
研究概要 |
マウス頭頂骨縫合部にメカニカルストレス(MS)を加えると間葉系細胞の骨芽細胞への分化促進、ついでin vivoと同じ過程を経て骨形成が進行する。骨芽細胞の分化が顕著になる前のMS刺激負荷3時間後には、BMP-4、tetranectin、adaptin C等の既知遺伝子とともにJ9と名付けた未知遺伝子が誘導された。発現の経時変化とこれに続くCbfa1の誘導等から、BMP-4は、オートクリン・パラクリン的因子として骨芽細胞の分化を促進すると考えられた。Tetranectin遺伝子は、MC3T3-E1細胞の分化の比較的初期に発現しその後消失することを確認しているが、最近この遺伝子欠損マウスが脊柱後弯症を呈することが報告された。α-adaptin Cは、EGF- 受容体(EGFR)やトランスフェリン受容体のエンドサイトーシスにかかわるタンパクであるが、MS負荷後3時間でタンパク発現の増加が認められるところから、遺伝子発現の増加はさらに早期に起こると考えられる。実際、in situ hybridization結果、本遺伝子は、MS負荷で伸長した頭頂骨縫合部の間葉系線維芽細胞様細胞にも誘導され、その発現はBMP-4よりも早期であった。本遺伝子はMC3T3-E1の分化状態によらず不変なので、MSに特異的に応答する遺伝子と考えられる。実際、MSがEGFRのエンドサイトーシスやEGFのシグナル伝達系に影響を及ぼすことが示され、このことが骨芽細胞の分化にかかわると予想される。また、J9は可溶性IL-1RAcPと判明したが、この分子はIL-1のシグナル伝達を抑制すると考えられる。J9の発現レペルはMC3T3-E1の分化にともなって増加することも確認されており、骨芽細胞のアポトーシス等に関与している可能性がある。さらに、MS刺激により発現が低下する遺伝子のひとつは、石灰化の抑制に関わることが示された。
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