研究課題/領域番号 |
12470390
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上崎 善規 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40116017)
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研究分担者 |
佐伯 万騎男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30273692)
米原 典史 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70124534)
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キーワード | 一酸化窒素 / 三叉神経 / ニトロ化たんぱく質 / 痛覚 / サブスタンスP / アロディニア / ペルオキシナイトライト / 脊髄背側路核 |
研究概要 |
今年度は培養ヒト神経芽細胞腫、脊髄背側路核から調整した三叉神経終末分画、脊髄背側路核に挿入したマイクロプローベを用いて、一酸化窒素(ドナー)の影響を検討した。 神経終末分画からの興奮性アミノ酸神経伝達物質(グルタミン酸)の遊離は一酸化窒素ドナーの共存下でも影響を受けなかったが、痛覚を伝達するといわれているサブスタンスPの遊離は抑制された。グルタミン酸神経の興奮は介在ニューロンの細胞内カルシウム濃度を上昇させ、一酸化窒素合成を促進することから、二種類の神経系の痛覚伝達に対する相互影響機構の存在をうかがわせた。 また、培養細胞では一酸化窒素ドナー、特に、ペルオキシナイトライト・ドナーによりその神経活動、細胞機能が低下し、濃度によって死に至ることが示された。これは細胞内たんぱく質のニトロ化によって引き起こされており、一酸化窒素が神経活動を制御するとともに、過剰の一酸化窒素がスーパーオキシドと反応して生じるペルオキシナイトライトが細胞死を誘導すると考えられた。 さらに、歯髄を損傷させることによりアロディニア状態を形成したラットを用いて、脊髄背側路核で一酸化窒素の産生が亢進していること、また、グルタミン酸受容体遮断薬などにより一酸化窒素の遊離が変化すること、それによりアロディニアの程度が変化すること、といったデータが蓄積されつつあるが、確証には至っていない。
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