研究課題/領域番号 |
12470397
|
研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 登喜雄 高知医科大学, 医学部, 教授 (70031995)
|
研究分担者 |
木村 剛 高知医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10294836)
植田 栄作 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (10203431)
山本 哲也 高知医科大学, 医学部, 助教授 (00200824)
|
キーワード | カンジダ症 / ラクトフェリン / ラクトフェリンペプタイド / ディフェンシン / 唾液 / 好中球 / マクロファージ / 活性酸素 |
研究概要 |
1.唾液によるカンジダ菌の付着・増殖の制御 唾液の口腔カンジダ菌の上皮付着並びに増殖抑制作用に関し、以下に概述するごとき結果を得ている。a)唾液によるカンジダ菌の上皮付着制御は主に、唾液中のsIgA、free SCの構成成分であるマンノース残基に基づく、b)唾液によるカンジダ菌増殖抑制作用は主に、ラクトフェリン、ディフェンシンに基づき、これらの唾液中濃度と増殖の抑制は強く相関する、c)カンジダ症患者では、唾液分泌量の低下と共に、唾液中のカンジダ菌付着、増殖抑制各蛋白が低下している。以上の諸点と共に、現在、カンジダ菌のαV_<β3>、αV_<β5>及びビトロネクチンレセプターを介するビトロネクチンへの付着、唾液腺細胞のβ-ディフェンシンの産生・発現について検討中である。 2.ラクトフェリンペプタイドの抗カンジダ菌作用について ラクトフェリンペプタイド(ペプタイド2;FKCRRWQWRM)がラクトフェリンの数倍の抗カンジダ菌作用を有することは、すでに報告済みであるが、本研究課題において、ペプタイド2のin vivoにおける作用を検討し、以下の結果を得た。a)ペプタイド2は抗真菌剤(アンフォテリシンB、ミコナゾール)よりは弱いものの、抗カンジダ菌増殖作用を有し、カンジダ菌を接種されたマウスの生存期間を延長した。b)ペプタイド2は抗真菌剤耐性のカンジダ株に対しても、野生株に近い増殖抑制作用を示した。c)ペプタイド2とGM-CSFの併用により、マウスの生存期間は相加的に延長し、ペプタイド2とGM-CSF及び抗菌剤の3者により、生存期間は著明に延長した。d)ペプタイド2は、貪食細胞のNO及び活性酸素生成を亢進させ、殺カンジダ菌能を上昇させた。この上昇作用はiNOSの発現誘導、NADPHの構成成分であるp67^<phox>及びp47^<phox>の発現増強からも支持された。e)ペプタイド2は抗真菌剤と同様、カンジダ菌の細胞壁の主要成分である多糖体の合成を強くは抑制しなかった。現在、ペプタイド2のカンジダ菌Hypha形成に関る遺伝子(hwp-1)及び多剤耐性遺伝子(mdr-1)に対する影響を検討中である。
|