研究課題/領域番号 |
12470401
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
堂前 尚親 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60115889)
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研究分担者 |
梅原 久範 京都大学, 歯学部, 助教授 (70247881)
福島 久典 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (50103099)
今井 久夫 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (80067024)
宮前 雅見 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20298821)
長野 豊 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80228048)
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キーワード | 辺縁性歯周炎 / fractalkine / NK細胞 / T細胞 / 単球 / 血管内皮細胞 / RANKL |
研究概要 |
慢性炎症性疾患である辺縁性歯周炎の発症と維持の機構を解明するため、種々の検討を行い以下の知見を得た。 1.NK細胞の活性化におけるシグナル伝達とその制御機構:CD2架橋刺激とIL-2によるNK細胞活性化のメカニズムを検討した。CD2架橋刺激はSykを介しShcとCblをリン酸化してGrb2およびCrk-Lとの結合を誘導し、IL-2はShcをリン酸化してGrb2との結合を誘導した。この両者のシグナルが協調的にNK細胞活性化を誘導した。また、NK細胞上のCD2によりチロシンリン酸化されたLATも、PI3K、Grb2およびCrkと結合してCD2刺激によるシグナルを多方面に伝達し、NK細胞を活性化した。 2.単球およびリンパ球と血管内皮細胞との接着におけるfractalkineの機能:Fractalkine receptor(CX3CR1)は、単球、NK細胞、CD8^+T細胞、γδT細胞に発現していた。活性化血管内皮細胞上のfractalkineは、G蛋白を介するインテグリン活性化能を介して、これらCX3CR1発現細胞と強く接着した。即ち、炎症性疾患においてfractalkineは、単球、NK細胞やT細胞と血管内皮細胞との接着や組織浸潤に深く関与していた。さらに、fractalkineの発現は、NK細胞からPI3Kを介してIFN-γを産生しTh1型炎症反応を進展させた。 3.Fractalkineを介したNK細胞による血管内皮細胞傷害:Fractalkine遺伝子を導入したECV304細胞およびHUVEC細胞にはNK細胞が過剰に接着し、血管内皮細胞自身が傷害を受ける事が明らかになった。急性および慢性炎症巣において、TNF-αやIL-1により活性化を受けた血管内皮細胞はfractalkineを発現し、細胞接着の誘導と同時に内皮細胞自身が傷害を受けている可能性が示唆された。 4.ヒト歯周組織におけるfractalkineとRANKLの発現:ヒト口腔粘膜および歯肉組織の血管内皮にfractalkineおよびRANKLが恒常的に発現している事を免疫組織化学的に明らかにし、これらが歯周病病変の形成および歯槽骨の吸収に関与している可能性を示唆する結果を得た。
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