研究課題/領域番号 |
12470405
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
福島 正義 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助教授 (30156773)
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研究分担者 |
武井 典子 (財)ライオン歯科衛生研究所, 研究員
竹中 彰治 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50313549)
石崎 裕子 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60303161)
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キーワード | 要介護高齢者 / 口腔内細菌 / 口腔ケア / 全身疾患 |
研究概要 |
近年、口腔細菌が特に高齢者の各種全身疾患に影響を及ぼすことが指摘され、その対応が求められている。そこで、我々は自力で口腔清掃が困難な要介護高齢者に対して、一般の介助者が安全かつ容易に行える効果的な口腔ケア法の検討を進め、これまで、誤嚥を避けるために給排水が自動的に行える電動ブラシ(デント・エラック給吸ブラシ910、ライオン歯科材(株)製)を考案して要介護高齢者に使用を試み、その有効性を細菌学的に検討してきた。 今年度は、高齢者(自立者・要介護者)のADLおよび口腔状態に対応した口腔ケア法を確立するための基礎的情報を得る目的で、有料老人ホームに入居している高齢者を対象に、現在、各自が実施している口腔清掃法による口腔状態を細菌学的に評価した。さらに、検査結果に基づいた個別の口腔ケア法をヘルパーおよび自立高齢者に提案し、1ヶ月後の効果把握を行なった。 その結果、自立者は要介護者と比較して、舌および義歯より検出されたカンジダ菌数、Mutans連鎖球菌(MS)と乳酸桿菌(LB)のコロニー数、偏性嫌気性菌数が多い傾向にあり、含嗽水の混濁度も高い傾向にあった。これは、要介護者はヘルパーが毎食後、口腔清掃を注意深く実施しているのに対して、自立者では本人に任せられており各種の理由で充分な清掃が行われていなかったものと推察された。しかし、個別の状況に配慮した口腔ケア法を提案し、実施1ヶ月後には自立者の義歯かち検出されたカンジダ菌および嫌気性菌は1/10に減少し、MSおよびLBともに有意に減少した(P<0.01)。また、舌から検出されたカンジダ菌および混濁度も減少傾向を示した。以上の結果から、今後、要介護高齢者のみでなく、自立高齢者に対しても自立心を失わせないように配慮した口腔清掃指導や介助者の支援が必要であることが示唆された。
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