研究概要 |
1960年代より、レーザーを歯科治療に応用しようとする研究が行なわれてきたが、実際の臨床に応用するためには、レーザー機器の改良だけではなく、術式、機序、適応症の検討も必要であった。以上のような問題点の中でも、臨床応用を目的に、当教室では長年に亘り、GaAlAs, CO_2, Nd : YAG, Argon, Er : YAG, Er, Cr : YSGGレーザーを使用してエナメル質、象牙質、歯槽骨に対するレーザーの効果を検討して来た。その結果、低出力で用いるレーザーには鎮痛、消尖効果があること、また、症例によっては、持続的臨床効果もあることが判明してきた。また、波長特性の臨床も進み、墨水を併用することにより硬組織の蒸散も効率よく行なうことが出来るようになった。特に、最近はレーザーの硬組織、中でも、エナメル質、象牙質に対する形態学的な微細胞構造変化についてSEM, TEMを用いて検討して成果を上げている。これらの研究成果によると、従来のER : YAGレーザーによる切削法に比較して、ER、CR : YSGGレーザーは波長が2780nwで水に吸収されやすく、高出力にも耐えたれるファイバーも開発されたために、切削効率が高く、注水量を調整することにより、歯髄障害も少なく、臨床においても誘発痛も最小限で、齲蝕治療が可能なことが判明した。今後の課題としては、術中の誘発痛の出現をいかにして最小にするか、手術にかかる時間をいかに少なくなくするかがある。
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