研究概要 |
チタンは生体親和性や耐食性に優れた金属元素である.しかし切削や研削などの機能加工性が悪いため,調製・撤去に手間がかかることや,歯科用CAD/CAMにおいて加工時間が非常に長く工具寿命が短いことが問題となっている.これらの問題を解決する方法のひとつとして,チタンを合成化することが考えられる.平成12年度では、チタンへβ拡大型元素である銀または銅を添加して合金化することで研削性が向上し,その添加効果は高速で著しくなることを明らかにした.これはαTiマトリックス中に脆い金属間化合物が適量析出するためと考えられた.本年度は銀や銅と同様にβ拡大型元素である金やニオブを添加した2元系チタン合金を試作し,それらの鋳造体の研削性を調べて,添加効果について比較検討した.この結果、Ti-Auの1分間あたりの研削量はいずれの組成・速度においてもCP Tiとの有意差はなかった.5%Auは速度の増加に伴い研削量が増加したが,10%Auでは速度1250m/minより上で,20,40%Auでは1000m/minより上で減少した.Ti-Nbでは10%Nbの研削量はいずれの速度においてもCP Tiと有意差はなかったが30%Nbの研削量は低速の500,750m/minにおいてCP Tiの2倍以上であり,有意に多かったが,その他の速度では有意差はなかった.2, 10%Nbは1000m/minより上で,30%Nbでは750m/minより上で研削量が減少した.中心部硬さはTi-Au,Ti-Nb共に添加量が多くものほど大きかった.いずれもCP Tiより大きかった.これらのことから,チタンに金を添加しても研削性は改善されないが,ニオブを30%添加すると低速において研削性が向上することが分かった.
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