研究課題/領域番号 |
12470412
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
補綴理工系歯学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
本郷 敏雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (60142444)
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研究分担者 |
山崎 聖美 国立公衆衛生院, 栄養生化学部, 主任研究官 (00218439)
日景 盛 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (20134710)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 歯科用レジン / ポリカーボネート / ビスフェノールA / 溶出試験 / 遺伝子発現 / 薬物代謝酵素 / 唾液 / ヒト乳ガン由来細胞 |
研究概要 |
本研究は歯科用合成高分子有機化合物に残留している化合物を同定・定量する試験法(材質試験法)及び溶出試験法を開発すること並びに代謝機能を有する内分泌攪乱化学物質感受性培養細胞系を開発すると共に内分泌攪乱化学物質で発現される遺伝子を同定し、この遺伝子を指標とした高感度検出系である遺伝子発現を指標とした生物学的安全性評価法の開発を目的とする。口腔内模擬環境として、ポリカーボネート(PC)製矯正用ブラケットを唾液に浸漬するとビスフェノールA(BPA)が溶出し、また、残留BPAが増加することを明らかにし、PCの重合調節剤として汎用されているP-t-ブチルフェノール(t-BuP)とp-クミルフェノール(p-CP)が、BPAと同様に溶出されていることも明らかになった。また、唾液に浸漬したブラケットに残留するBPA量より、熱変性唾液に浸漬したブラケットでそれらの残留量並びに溶出量が顕著に増加していた。これらの結果から、PCの加水分解には唾液中のエステラーゼやリパーゼの関与は少ないと考えられる。更に人工唾液より、唾液での溶出が多いことから溶出試験法として、実態に即した条件を用いる必要性がある。BPA処理したT47D細胞から若しくはBPA投与妊娠マウス(0.5、5、50、500mg/kg/dayで妊娠3.5日目から投与)の胎児の生殖腺RNAを抽出し、ディファレンシャルディスプレイ法によりコントロールであるRNAとBPA処理した細胞から得られたRNAで発現量のことなるものを検索した。バンドとしては、発現の差異のあるものが数十得られたが、昨年度報告したNADH dehydrogenase subunit 2の他には、遺伝子を特定できなかった。サイトカイン産生は、BPAが高濃度では抑制されるが、低濃度では亢進することが明らかになった。さらに、JurkatヒトTリンパ球系培養細胞を用いて免疫系細胞への影響について解析を行った結果、BPAは瞬時にリンパ球細胞内のカルシウムイオン濃度を上昇させ、また、SDS-PAGEを行った結果、細胞の各種タンパク質のリン酸化を起こすことが明らかになった。代謝誘導能を指標とした毒性試験法ではHepG2細胞を使用し、ホタルルシフェラーゼを合成する遺伝子上流にヒトCYP1A1 XREすなわち異物応答反応領域の遺伝子を挿入したレポーターベクターを作り、細胞の核に導入したところ、Reporter assayとNorthern blot分析の結果から弱いながらもBis-GMA、BADGE・2H_2OとBPAはヒト肝臓に存在する薬物代謝酵素の一つであるCYP1A1を誘導し、BADGEは誘導を抑制することが明らかになったが、このとき3-メチルコラントレン共存下ではその酵素誘導を顕著に増大させた。
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