研究分担者 |
中西 徹 岡山大学, 歯学部, 助教授 (30243463)
滝川 正春 岡山大学, 歯学部, 教授 (20112063)
高柴 正悟 岡山大学, 歯学部, 助教授 (50226768)
園山 亘 岡山大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40325121)
完山 学 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90294420)
|
研究概要 |
1.修復象牙質の形成時に発現している遺伝子の同定 ラットを用い修復象牙質形成中の歯髄ならびに健常歯髄のサンプリングを行い,それぞれAGPC法によりtotal RNAを抽出し,cDNAライブラリーを作製した.これらのcDNAライブラリーを用い,Leygueらの方法を改変してsubtractive hybridizationを行った.その結果いくつかのcDNAを得て,現在その塩基配列の確認を行っている. 2.β-galactosidase遺伝子導入による遺伝子発現と導入率の検討 遺伝子導入には,E1A,E1B,E3領域を欠損させた組み替えアデノウイルス(5型)を用いた.このアデノウイルスの欠損させた部位に発現プロモーターであるCAGプロモーターと発現マーカーであるβ-galactosidase遺伝子を組み込んだアデノウイルスベクターAxCALacZを作製した.同べクターを用い培養細胞(ヒト軟骨肉腫由来軟骨細胞様細胞株:HCS-2/8ならびに膝関節軟骨初代培養株)に対しての導入効率を検討した.その結果ほぼすべての細胞で導入したβ-galactosidase活性が認められ,本法を用いると培養細胞に対して高い効率で意図した遺伝子を導入できることが確認された. 3.既存の遺伝子,タンパクの修復象牙質形成中における局在の確認 1で述べたようにcDNAライブラリーを用いて,直接的に修復象牙質形成中に特異的に発現している遺伝子を同定することを試みるとともに,既存の遺伝子の中で修復象牙質形成に関与していると思われるβ型形質転換増殖因子(TGF-β)と結合組織成長因子(CTGF)の局在を免疫染色法により確認した.その結果,形成による歯髄刺激後2週後まではコントロールと同程度の弱い発現が象牙芽細胞層においてのみ認められた.修復象牙質様硬組織が確認されるようになる2週後になると,TGF-β,CTGFともに同組織周囲で発現が強くなることが確認された.このことから細胞外基質の分泌ならびに石灰化にTGF-βならびにCTGFが強く関与している可能性が示唆された.
|